──────────── 注 意 ──────────────


この先には、「おがふる前提」の、「早乙女×古市」のシーンがあります。
男鹿にメロメロな古市の誘いうけです。


正しくはホンモノの古市ではなく、ラジカセの古市ですし、最後までいたしてはいませんが、性描写がありますので、男鹿以外の人間とそういうことをしているシーンを見るのが苦手な方は、ブラウザバックをお願いします。

その気が全くなかった禅十郎さんが、古市に翻弄されて本気になっちゃうっていうだけの話です。


それでも大丈夫orバッチコイって言う方は、先へお進み下さい。


この話を読まなくても、本気デレ3の話は通じます。
ちなみに本気デレ3は、おがふる(本物)のターンです。




本気デレ 2.5










 ──久しぶりにエクササイズで普段使わない筋肉を使ったせいか、ちょっと腰の辺りが痛いような気がする。
 ……と、その時だ。
 後ろに置いた、巻き戻しをしていたはずのラジカセから、ゴゴゴ……と、なにやら妙な気配がしたのは。
「──……ん?」
 なんだ、と、振り返った早乙女は、ぽろ、と、タバコを落とした。
 ラジカセの前には。
 一人の少年が、いた。
「…………っ。」
 いつのまに、と、思わず身構えかけた早乙女だったが、その相手の顔には見覚えがあった。
 「古市」だ。
 うっすらと深い茜色の差し込む薄闇の中、白銀の髪と白い肌がくっきりと見える。
 なぜか先ほどとは着ている服が違う。──着替えた、というよりも、脱いだような姿だ。
 男としては華奢な体つきを覆うのは、白いカッターシャツ一枚。前のボタンは全て開かれている。
 おそらく男鹿が見たら、奇声をあげそうな姿であったが、早乙女は「寒そうな格好だな」としか思わなかった。
 俯いた顔をゆっくりとあげて、古市は目を瞬く。。
 なぜ、と目線をチラリと走らせれば、ラジカセのスイッチが降りていた。──巻き戻しではなく、再生、に。
「…………おう。」
 間違えて押してしまっていたらしい。
 なんて失態だ、と、早乙女は掌で顔を覆った。
 どうやら、「あれ」で古市の声は終わりだと思っていたが、続きがあったらしい。
 ──と、いうことは。
 こいつが襲ってくる可能性があるということだ。
 瞬時にそれを理解した早乙女は、改めて腰を低く落として、古市の攻撃に備えようとした、が、しかし。
 目の前に出現した古市の様子が、少し違った。
「──男鹿。」
 しっとりと潤んだ双眸で、頬を上気させ──ほのかに色づいた唇で、掠れた声を漏らす。
 さきほどの、問答無用で暴力を振るっていた古市とは全く違った。
 そろ、と白い腕を伸ばして、前に体を傾ぐ。
 その拍子に、シャツが閃いて覆い隠されていた胸の飾りがチラリと見えた。
 細い首筋、そこから続く鎖骨に、決してふくらみなど存在しない滑らかな胸元。──本来なら、まったく興味がない物なのだが、女でも珍しいほどの白い、抜けるように白い肌にぷっくりと色づいた桜色の突起。
 両手ですっぽりと覆い隠せそうなほど細い腰に、シャツの裾がかかった白い腿。──かすかに立てた足の間から見えそうで見えない、秘部。
 思わず、目が奪われた。
 しかも早乙女にとっては、食指が動かないはずの男相手。……だというのに。
「男鹿……、会いたかった。」
 とろり、と蕩けるような微笑みを零した古市に、近づいてくる甘い声に、動けなかった。
 するり、と、古市は早乙女の首に腕をまわす。
 ぐ、と近づいた古市からは、甘い花のような香がした。
 口付けをねだるように、かすかに首を傾げた古市の首筋に、蠱惑的に薄く開かれた唇に、うっとりと見上げてくる長く繊細な睫に、心が震える。
「……おが……。」
 甘い声に、頭がくらくらする。
 男相手に、良くそんな気になると、そう思っていた相手が放つ色香に──あぁ、普通の高校生が到底持ちえぬ艶に、体が引けた。
「ちょ、おい待てっ、俺は……っ。」
 男鹿じゃない、と、最後まで言う言うことは出来なかった。
「ん……。」
 近づいた顔と顔が、触れ合った。
 早乙女のかさついた唇に、しっとりとした柔らかく濡れた唇が押し付けられる。
「──……っ。」
 おいおい、冗談じゃねぇぞっ!? くそったれっ!!
 そう叫ぶはずだった口は、開かない。
 睫を震わせながら、古市は舌先で早乙女の上唇を軽く舐め、そのまま下唇を軽く噛んでから、そ、と唇を外す。
 つ、と離れた唇が妙に寒いと思ったなんて、絶対ない。
 そう思うのに──すり、と体をすりよせられて、その温かさと滑らかさに、背筋がゾクリと震えた。
「男鹿……、髭、生えてる。」
 細い指先で、つぅ、と顎先を擽られる。
 くすぐったさと、どこか官能さを誘われる動きに、早乙女は腰の辺りにムズ痒さを感じつつ、いやいや、と古市の手首を掴んだ。
 そして、
「あのだな、俺は……。」
 男鹿じゃねーんだ、と、続けようとしたのだけど。
「修行のしすぎで、髭剃るの忘れたのか?」
 くすくすと、吐息を感じるほど間近で微笑む古市の、艶美さの中に潜む愛らしさに、うっ、と一瞬意識を奪われた。








 つつ、と髭を指で辿りながら、古市は目元を緩めて微笑む。
 そして、す、と己の体を早乙女の脚の間に割り込ませると、少し膝を立てるようにして彼の内腿に膝小僧をこすりつける。
 敏感な場所を刺激されて、甘い痺れにも似た感覚が走り、うっ、と腰が引けた。
 かと思うと、古市は再び早乙女の首の後ろに手を回し、
「でも──そんなワイルドな男鹿も、……好きだぞ?」
 頬や耳まで赤く染め、首を少しだけ竦めるように微笑む。
 その、イタズラに愛らしい仕草に、胸がギュと締め付けられる。
 エロイ。そして無駄に色っぽい。
 今すぐその濡れた赤い唇を塞いでむさぼり、その細い腰を抱き寄せてぐちゃぐちゃに啼かせたくなるような──そんな、凶暴な気持ちが一瞬で胸の中を暴れ狂った。
 ──いやいや、こいつは高校男子っ! 俺の食指外だぞ、くそったれめっ!!!
 動揺しながらも、早乙女はその衝動を必死で抑えて、古市の顔を見下ろす。
「いや、あのな、俺は男鹿じゃねーんだよ。」
 どうやらラジカセから出てきたこの相手は、早乙女のことを男鹿だと認識してしまっているらしい。
 どういう構造だかわからないが──もしかしたら、あのラジカセ、古すぎてちょっと故障気味なのかもしれない。
 それとも、一般人の潜在能力を解放しようとすると、「こう」なるのだろうか?
「……男鹿。」
 なのに、古市は早乙女の言葉を理解しない。
 そういうものなのかもしれない。
 愛しそうに早乙女を見つめる古市の顔は、見ているだけで情欲を掻き立てられる。
 このまま体を摺り寄せられて見つめられていると、無体なことをしてしまいそうだった。
 男なのに──あぁ、正真正銘の男だというのに、なんでこんなに無駄にエロいオーラを纏っているんだっ!?
 こうなったらしょうがない。相手は教え子とは言えど、「影」で、ホンモノではない。
 うっかり間違いを犯す前に、一発、拳で黙らせるしかないか、と。
 早乙女はわざとらしい溜息を零して、古市の肩を掴んだ。
 ──……と。
 するり、と。
 古市の肩から、シャツが滑り落ちた。
 目に飛び込んできた白い肌に、思わず、はっ、と息が止まった。
 古市は、大きな目を瞬かせると、きょとんと早乙女を見上げて……、ぽっ、と頬を赤らめた。
 かと思うと、一度目を閉じてから、そろり、と瞳を開いて。
「……男鹿。」
 震える唇で、甘い吐息を思す。
 まずい、と、早乙女が思う間もなかった。
 ぐ、と、再び唇が押し付けられる。
 待て、と、言いかけた唇にスルリと舌が入り込む。
 それが気持ち悪いとは、チラリとも思わなかった。
 普段なら男に口付けられたら、グーで殴り飛ばしているところだ。
 なのに、今は、古市の肩に手を置いたまま、動けない。
 唇の間から入り込んだ古市の舌は、上顎をすべり、歯列を辿る。
 甘いうずきが首筋を突きぬけ、必死に舌を絡めようとする古市の表情に、うっかり肩に置いた手を腰にまわして抱き寄せたくなった。
 それを、一生懸命押し留め、いやいや、待て待て、禅十郎、と早乙女は拳を握り締める。
 チュク、と湿った水音が立ち、互いの唾液が交じり合う。
 古市は首に絡めた腕で、早乙女の髪を指先に絡めて頭を撫でる。
 膝でグリグリと股間を弄られ、うっかりやばくなり、早乙女は腰を引こうとするが、古市は全身を彼に預けてくるから適わない。
 古市の肩を押して離そうとするものの、肩を掴んだ掌に返ってくる滑らかな感触に、う、と手が強張った。
 するり、と古市のもう片方の肩からシャツが滑り落ちる。
 肘の辺りまで落ちたシャツにより露になった首筋から背筋へのラインが、まばゆいほど白い。
 いつのまにか暮れた日差しに、辺りは薄い紺色に包まれ始めている。明かりさえないその中で、その華奢で頼りない白い輪郭に、抱きしめたくなる。
「ん……っ、ふ──……っ、ぁ……っ。」
 古市が口付けを更に深くする。
 拒んでいた舌にスルリと熱いねっとりしたソレが絡み、強く吸われて、頭の中がジンとなった。
 見下ろした眼下で、整った白い面が眉を寄せていた。
 その顔が、壮絶な色香を放っている。……理性がギリギリと音を立てて引き絞られる。
 舌を吸い尽くして、絡めて、唾液すらも飲み込んで、相手の口腔内を犯したい。
 その体を抱き寄せて、細い首筋や背中、薄い胸に口付けて、ピンク色の突起を指で触れて弾いて舐めて甘く噛んで……その、甘いだろう肉を食みたい。
 湧き出る衝動に、頭がくらくらする。

──スーパー超淫乱な古市

 あぁ、男鹿。バカにして悪かった。
 コレは、マジでありえねぇ。
 ありえねぇくらい、すげぇ潜在能力だよ。
 けど、これに流されるわけには行かない。──早乙女禅十郎の意地にかけても、だ。
 目の前のとびきりのデレ色気を発揮する「古市」は、あくまでも早乙女を「男鹿」として認識しているのだ。
 これが、早乙女を早乙女として認識し、誘ってきているのならソレに乗ってやってもよかったかもしれない。──理性も、もうちょっと早くブチキレていたかもしれない。
 けど、彼は口付けて、その合間に囁くのだ。
「ん……男鹿……っ──ふ……っ、好き……、男鹿…………っ。」
 甘く、切なく。聞いているこっちが、胸がうずくような甘い甘い声で。
 ちゅ、ちゅ、と角度を変えて口付けながら、古市は一度唇を離した。
 濡れた唇を赤い舌先でなめて──その仕草に漂う色香に、グリグリと弄られ続けている股間が一段と熱くなったのを感じながら、くそっ、と早乙女は口の中で小さく、思った以上に弱い己の理性に舌打ちをする。
 古市は、蕩ける笑顔で早乙女にもう一度口付けると、す、と体を少しだけ離した。
 股間を弄る脚の動きも止まり、今がチャンスだ、と早乙女が体をはがそうとする……よりも早く。
 つつ──……、と、古市の手が彼の項を辿り、背筋をなぞり、臀部を掌でスルリと撫でる。
 震えた腰に血が集るのを覚えて、ちょっと待て、と早乙女は古市の体を引き離そうとするのだが、
「なぁ、男鹿……?」
 ふ、と、吐息を耳に吹き込まれて、ぞくりと肌が粟立った。
「……っ、おいっ。」
 いい加減にやめろと、そう言いたいのに、とろりと熱に浮かれた瞳を見下ろせば、言葉は口から出なかった。
 魅力的な双眸の光に、目を奪われる。
 古市はその隙に掌を早乙女のベルトにかけて、かちゃかちゃ、とベルトを外し始める。
 その音に、慌てて──さすがにそれ以上はマズイだろ、と早乙女が止めようとするが、古市は慣れた仕草でベルトを抜きさる。
「ちょっと待て、古市っ。」
 そして、チャックの上から掌で硬くなり始めた早乙女のソレに手を当てると、嬉しそうに目を細めた。
「硬くなってる……。」
 ひっそりと囁いた声には、熱が篭っている。
 嬉しそうな、色香溢れるその声音に、早乙女は古市の手首を掴んで、そこから引き剥がそうとするが、古市の動きの方が早い。
 チィ……、とチャックが下ろされ、下着の上から古市の手が膨らんだ股間を撫でさする。
「……くっ……。」
 低くうめき声をあげた早乙女に、古市は嬉しそうに笑う。








 緩急をつけて早乙女のソレを刺激しながら、古市は膝を折る。
 下着の中に納まった膨らみは、古市の手の動きで固さと大きさを増していく。
 古市はソレに、うっとりと嬉しそうに笑うと、クルリと指先で先端辺りで円を描くような愛撫をほどこすと、ジンワリト染みを作り始めた下着に唇を近づけて、囁く。
「……男鹿、…………なぁ。」
 色っぽく掠れた声で、古市はペロリと唇を舐める。
 赤い舌と白い肌のコントラストが、眩暈がするほど色っぽい。
「……コレ。」
 すり、と下着の上から頬刷りして、古市はソレに口付ける。
 ちゅく、とわざとらしく水音を立てて、ずくん、と脈打つソレに手を添える。
 見せびらかすようにチラリと早乙女を見上げれば、仁王立ちしたまま古市を見下ろす男の顔からは、余裕がなくなっていた。
 隠しきれずに滲み出る情欲の色を確認して、古市は嬉しそうに笑った。
 そして、わざとらしく体を前かがみにして、己のシャツの裾で見え隠れしていた臀部に掌を当てると、
「男鹿の、あっついの、俺に、入れて?」
 ごくり、と早乙女の喉が鳴る。
 彼の視点からは、古市の秘部は見えない。──それが分かっている角度で、古市は背中から滑らせた己の指先を、軽く折り曲げるようにして入り口をクルリとなぞる。
「コレで、ココ、いっぱい、突いて……。」
 甘く掠れた声で、おねだりする姿に、理性が焼ききれる。
 濡れた唇から零れる甘美な誘惑に、ふるいつきたくなる。
「掻き回して……、俺の中、ぐちゃぐちゃにして……。」
 言いながら古市も興奮してきたのか、声が上ずり、ごくりと喉が上下する。
 腰を揺らして誘う様に、古市の手の中におさまっていたものが、下着からはちきれそうな熱を持つ。
 ──待て、と、早乙女の脳内で激しい警鐘が鳴っている。
 なのに、
「……中に、いっぱい、出して。」
 恍惚とした古市の言葉を耳にした瞬間、何もかもが吹っ飛んだ。
 教師としての倫理観も、誰かの代わりだと言う事実も、相手が男子高校生だと言うことも、何もかも真っ白になった。

 どさっ……。

 古市を地面に押し倒して、開いた脚の間に体を割り込ませる。
 上から見下ろせば、古市はうっとりと微笑む。
 理性が吹っ飛んだ雄の顔で、ギラギラとした情欲を双眸に宿し早乙女は華奢な白い身体を見下ろす。
 地面に広がる白銀の髪、白い顔。細い首に線の細い身体。──ぷっくりと誘うように宿るピンク色の突起を、はだけられた白いシャツが半分覆っている。
 チラリと見えるソレが、ますます欲を煽った。
「てめぇ……これだけ俺を誘っておいて、どうなるかわかってんだろうな?」
 ジロリ、と見下ろせば、古市は唇を震わせて歓喜の声をあげる。
「男鹿……、早く……っ。」
 焦らすな、と、堪えきれないように脚を震わせ腰を軽く持ち上げる古市の股間のものは、すでにもう立ち上がっていた。
 先端からは先走りの雫が零れ、濡れて後部の双丘の合間へと流れて行く。
 ぺろり、と早乙女が唇を舐めて、古市の腹部に掌を当てる。
「どうなっても、しんねぇぞ?」
 にぃ、と唇を歪めて笑い、早乙女は古市の唇に唇を寄せる。
 片手は古市の胸の飾りをつまみ、もう片手で少年の後ろへと這わせる。
「あ……っ、ん……っ。」
 甘い声を漏らす古市の姿態に、早乙女はにんまりといやらしい笑みを浮かべる。
「おーおー、かぁわいい声あげちゃって。」
「男鹿ぁ……、こっち、も……っ。」
 尻を軽くあげて、誘うように腰を揺らす古市に答えて、早乙女は掌を彼の秘部に当てる。
 ぴくり、と震えた古市のソコは、すでにもう待ちかねてヒクヒクと秘肉を蠢かせている。
「ったく──エロイ生徒だな、おい。」
 指を触れさせれば、そこはもうほぐす必要もないくらい、濡れて広がっていた。
 このまま入れても問題なさそうだ。
「……んん……っ、お、がぁ──……っ、はやく……入れて……っ。男鹿の──……ほしいぃ…………っ。」
 古市は、いやらしくねだって、自らの手で秘部に手をあて──そこを、押し広げる。
「そう急くな。──すぐにやっからよ。」
 興奮した色を隠せない声で、早乙女はそう囁くと──そんな余裕のない自分に、くそったれ、と心の中で吐き捨ててから、古市の上に身を落とした。
 細く華奢な腰を掴み、それをグ、と己の方に引き寄せるようにして……甘くねだる古市の唇に、唇を寄せようとした──……が。

 ぼふんっ!
 ごつっ!!!!

 突然目の前に居たいやらしい裸体が、掻き消えた。
 柔らかで甘い唇に触れるはずだった口は、思いきりよく地面に激突し、引き寄せるはずだった体はなくなり、早乙女はそのまま地面に突っ伏した。
「──……っ!?」
 何が起きたのか分からず、早乙女はそのまま動きを止めた後──、がばっ、と起き上がった。
 股間の固くそり勃ったイチモツが、ぶるんと揺れる。
「って、何が起きた、くそった……っ。」
 言いかけた早乙女は、自分のすぐ背後で、ジーと鳴っているラジカセに気付いた。
 そうだ、あれは──……あのどんな女よりも色香と艶があった少年は、魔界ラジカセが生み出した産物だったのだった。
「……声が、切れた、の、か……。」
 事実を悟り、早乙女は額に手を当てる。
 ああ……くそっ。俺としたことが、なんて失態だ。と、地面に両手をつけたままうな垂れたその目に、元気な息子の姿が目に入った。
 脳裏によぎるのは先ほどまでの「古市」の官能的な姿である。
 誘うように揺れた腰や、早くとねだる熟した秘肉。──あぁ、あそこに入れて、遠慮なくガツガツと突っ込めたら、どれくらい気持ちよかっただろうか……って、違うだろーがぁぁっ!
「──……あーっ、クソっ! てめっ、俺の元気になったイチモツ、どうしてくれんだっ、クソッタレーっ!!!」
 星が瞬き始めた空向けて叫んだ早乙女は、自分が危ない一線を越えなくてすんだことに安堵するのと同時に、ちょっと惜しかった、なんて思ったのは、精神安定上、あえて蓋をして見なかったことにした。