寝姿拝見レポート?



キーファ「おーっ、今日はまた綺麗な月じゃないか。」
ガボ「すっげぇー、うまそうなまぁるい月だぞ。」
キーファ「ガボはそればっかりだなー。だからマリベルに殴られるんだぞ。」
ガボ「マリベルはすぐに手が出るんだ。」
キーファ「昔から昔から。」
アルス「…………あの………………さ?」
ガボ「でも、やっぱり夜は気持ち良いぞっ! おいら、夜は大好きだ。」
キーファ「俺も俺も。昼間の方が好きだけど、夜も好きだな。ま、外に居れたらどっちでもいいんだけどさ。」
アルス「キーファ……。」
ガボ「おうっ、それはおいらにも良く分かるぞっ。」
キーファ「だろだろ?」
アルス「キーファったらっ。」
ガボ「んん? どうかしたのか、アルス?」
キーファ「さっきからどうしたんだよ、暗いなぁ、アルスは。ん? もう眠いのか?」
アルス「そうじゃなくって、どうしてキーファが此処に居るんだよっ!?」
キーファ「決まってるじゃん。旅の扉をくぐってきたんだよ。」
アルス「旅の扉って――それじゃ、ユバールはっ!? ユバールに残ったんじゃないのっ!?」
キーファ「残ったぜ? (けろり) でもさ、今日の寝姿のレポーターがアルスだって聞いてさ、こーれは、相棒は俺しか居ないだろうと思ったんだよ。」
アルス「それだけっ!? それだけのために戻ってきたの、キーファっ!?」
キーファ「そーだけど?」
ガボ「キーファ、すっげぇー。」
アルス「すごくないっ! すごくなんかないよ、ガボっ。キーファはね、無責任って言うのっ!」
キーファ「おいおい、そりゃないだろーが。ガボなんかじゃ相棒は勤まらないだろうなぁ、って思ってわざわざやってきたのに。」
アルス「そういうことで、わざわざやってきてほしくないよ、僕はっ。
 それに、相棒だったら、メルビンだって居るし、アイラだって居るから、別にキーファなんか居なくっても大丈夫だよ。」
キーファ「いたっ。今のは痛かったぞ、アルスっ。」
アルス「だって……キーファには、することがあるんだろ? だったら、僕たちのことばっかり構って無くてもいいんだよ、ほんとに? 僕たち、すでに魔王だって倒してるし、今は神様がちょっと無茶言うから、神様を下界に住まわせたりしてるけど――……正直な話、キーファがそこまで心配することなんて、何もないから――だから、安心して、自分に道を見つけてくれて、いいんだからさ。」
キーファ「あのなー、アルス? 俺は、好き勝手やってるだけ。俺が、アルスに会いたいと思ったから、アルスに会いにきたの。
 それじゃ、ダメ?」
アルス「…………っ、き、キーファは――ずるい……。」
ガボ「おう。おいらはキーファにあえて、うれしいぞ。」
アルス「僕が……僕がどれだけ、キーファに会いたいと思っても、あえないから我慢してきて――なのに、キーファは、僕に会いたいと思ったら、会えるの? 会いに来れるの? それって、ずるくない?」
キーファ「俺のわがままは、昔からだろ?」
アルス「……それで、キーファは、僕に会いたいって、今の今まで思わなかったわけだ? だから、今まで会いに来なかったんだ? ――そりゃ、そうだろうけどっ。アイラも生まれてるんだから、そういうことなんだろうけどっ。」
キーファ「ちょっ、アルス? 何言って……っ。」
ガボ「アルス? どうしたんだ? なんか、アルスが怒ってるのって、すごく珍しいぞ。」
キーファ「アルス? アールスちゃん?」
アルス「…………っ、キーファは、ガボと一緒に寝姿でもなんでもしてたらいいだろっ。僕は、かえるからっ。」
キーファ「え? ちょっ、アルスっ!?」
アルス「明日、初めて漁に出るんだ。だから、今夜は早く寝なくちゃいけないんだよ、僕。
 だから、断らなくっちゃって思ってたけど――キーファが来てくれたのなら、キーファに任せればいいわけだよねっ!?
 それじゃ、後は任せたからね、キーファっ。」
キーファ「アルスっ。おい、アルスってばっ! 俺は、だからお前に会いにきたって言ってるじゃんっ!? そりゃ、今まで会いにこれなかったのは悪かったと思うけど、俺にもなんていうか、こう、事情ってものがだなっ、おいっ、アルスっ!!」
アルス「………………っっ。」
キーファ「待てって、待てってば、アルスっ!」
アルス「…………………………。」
キーファ「アルスっ! 俺は、お前と居たいんだよっ。」
アルス「…………………………………………。」
キーファ「たまには、俺の話も聞いてくれよな。」
アルス「いつもっ! いつも聞いてきたじゃないかっ。
 だから、キーファが残りたいって言ったときも、ちゃんと聞いたっ! それがキーファが選んだ道だって分かってたし、キーファが悩んでいたのも知ってたからっ! それ以上、何を聞けばいいのさっ!?」
キーファ「だからぁっ。
 俺が、お前を愛してるってこと。」
アルス「……………………っっ、な、ななななななっ。」
キーファ「会いたかったんだぜ? ほんと。」
アルス「何……言って…………っ。」
ガボ「おーい、アルス、キーファ……寝姿はいいのかー?」
キーファ「会いたかった……ほんとに。
 こうやって、抱きしめたかったし。」
アルス「きききき、キーファ……っ、はは、離せよっ。」
キーファ「こうやって……アルスの顔も見たかった。」
アルス「キーファ……ず、ずるいよ……っ。」
キーファ「ん?」
アルス「なんで――……なんで、そうやって……っ。」
キーファ「そりゃ、決まってます。」
アルス「……………………。」
キーファ「俺が、お前を、愛してるから。
 たとえ生きている場所が違っても、俺が一生愛してるのは、アルス君だけです。」
アルス「………………………………………………ばか……………………。」
キーファ「馬鹿で十分……な?」
ガボ「おーい、アルスー、キーファぁ?」
アルス「………………。」
キーファ「あーるす?」
ガボ「なぁ、ふたりと……。」
がしっ。
マリベル「そこまでにしておきなさい、ガボ。」
ガボ「んん? あれ、マリベル? なんでここに?」
マリベル「ちょっと奇妙な気配を感じてね……能天気炎男だってことが分かったけど。」
ガボ「おう。そうか。」
マリベル「……わかってないでしょ、あんた。
 まぁいいわ。ガボ、行くわよ。」
ガボ「んん? なんでだ?」
マリベル「あたしは、まだ馬に蹴られる気はないってことよ。」
ガボ「???」
マリベル「あんたも、明日早くから漁の船を見送るんでしょう? だったら、早めに寝ておいたほうがいいわよ。」
ガボ「おう。でもよ、寝姿はどうなるんだ?」
マリベル「…………お月様が、あの二人の寝姿でも撮ってくれるでしょうから、安心しなさい。」
ガボ「なるほどっ、それなら安心だなっ。」
マリベル「そういうこと。だから、朝になるまで、洞窟側の浜辺にはちかづいちゃだめだからね。」
ガボ「良くわかんねぇけど、わかったぞっ。」
マリベル「…………明日の初漁……アルスのヤツ、寝坊したら、承知しないんだからね……っ。」
ガボ「おう!」
マリベル「あんた……わかってないでしょ……。」



さてさて、真実のほどは、エンディングにて?




言い訳→

 どうしても、どぉっしても、アホじゃないのか、あんたらはーっ!! っていうのを書きたかったんです。