スイ「ぐれみおー、ねぇ、グレミオったらぁっ!」
グレミオ「はーい、どうしたんですかぁ、坊ちゃん。」
スイ「ちょっとこっち、こっち来て、こっち! 早く!」
グレミオ「はい? ここですか?」
スイ「うん、そこそこ。じゃ、いっくよー?」
グレミオ「い、行く? 行くって、何がですかっ?」
スイ「いいのっ! そこに立ってて!」
グレミオ「はい?」
スイ「じゃ、行くよ―ッ! それっ!」
グレミオ「な、何ですかっ!? 今何を投げ……?」
スイ「ナーイスキャッチ! じゃ、それ、ちゃんと食べてよねっ!」
グレミオ「食べる……? リボンまで付いて……。」
スイ「あっ! 僕が行くまで開けちゃだめっ!」
グレミオ「??? 一体何が入ってるって言うんですか、坊ちゃん?」
スイ「……内緒。いいよ、開けて。」
グレミオ「? ……あ。」
スイ「ねね、食べて食べて♪」
グレミオ「──……た、食べるんですか、これを。」
スイ「うん、そう! くれた人の気持ちを無駄にしちゃいけないよねっ!」
グレミオ「…………ご自分が貰ったんでしょう、ナナミさんから。」
スイ「だーかーら、こうして一緒に見たじゃない。で、食べるのはグレミオの役目。」
グレミオ「──愛を感じられませんよ、坊ちゃん…………しくしくしくしく。」
リオ「スイさんっ! 僕って絶対お買い得だと思うんですっ!」
スイ「? なんだい、突然。」
リオ「このまま行けば、真の紋章も手に入るし! 今はまだ成長してるから、絶対スイさんの背を追い越すし!」
ジョウイ「……って、リオ、僕は……?」
スイ「────背、ね(あまり良い気分ではないらしい)。」
グレミオ「おやおや、一体どうしたんですか、リオ君。」
リオ「だから! スイさんっ! 僕と結婚してください!」
ジョウイ「りりり、リオっっっ!!」
グレミオ「………………っっ!!(言葉もないようだ)」
スイ「…………────うーん?」
グレミオ「な、何悩んでるんですか、坊ちゃんっ! グレミオのことはどうなるんですかっ!!?」
スイ「いや、だってグレミオはどうせいつか死んじゃうしな、って思って。」
グレミオ「〜〜! 坊ちゃんっ! 何を今更なことをおっしゃるんですかっ! どうせ紋章を持っていてもいなくても、グレミオのほうが年上なんですよっ! 普通に考えても、先に死ぬのはグレミオじゃないですかっ!」
スイ「うん、そうだね。……で?」
グレミオ「ということは! 何も今更悩まなくてもいいんですよっ! ここで違うのは、グレミオが死ぬときも坊ちゃんが若いままだってことと! グレミオが死んだ後も、坊ちゃんは長い間生きていくってことくらいですっ!」
スイ「ははーん、なるほど。つまりなんだ、グレミオは、年取っても若いままの僕が嬉しいわけなんだね?」
グレミオ「…………っっ!! な、ななななな、何を…………っっ!!」
スイ「あははは、いいよ。グレミオがしわしわのおじいちゃんになっても、一緒に居てあげるからさ。ちゃんと養ってあげるよ。だからそれまで、ちゃんと生きてよね。」
グレミオ「ぼっちゃぁぁぁーんっっ!!」
リオ「…………ジョウイ〜〜! 無視されちゃったよ〜! 僕の一世一大の告白〜。」
ジョウイ「よしよし。リオには僕がいるだろ?(良かったと、胸をなでおろしているようだ)」
リオ「……そうかっ! 僕にはナナミっていう応援も居るんだっ! よぉっし! ナナミ、待っててねっ! 僕は、頑張ってスイさんをゲットしてみせるよっ!」
ジョウイ「……あきらめようよ、ね?」
スイ「ぐれみおー。お腹すいたぁぁぁー。」
グレミオ「はいはい、今すぐお作りいたしますよ。」
リオ「はーい、僕はスイさんがたべたいなぁ、なーんてv」
グレミオ「何をおっしゃるかと思ったら! もう、リオくんったら、お茶目さんですねぇ。」
スイ「……──言う事はそれだけなの? グレミオ……。」
ジョウイ「はいっ! 僕は異議アリっ!」
リオ「知らないよ、そんなの。」
グレミオ「はい? どうかしましたか、坊ちゃん?」
スイ「……グレミオはホントは僕の事、好きじゃないんだ。」
グレミオ「ええっ!? そ、そんなことありませんよっ! 坊ちゃんはグレミオの命です、宝です、太陽ですよぉぉーっっ!」
スイ「じゃ、何でリオがあんな失礼なこと言ってるのに、平気な顔してるのさっ!」
グレミオ「だって、坊ちゃんがグレミオ以外の男にそんなことさせるはずがないじゃないですか。」
スイ「………………//////。う、うみゅ。」
リオ「らぶらぶ?」
ジョウイ「リオ、いいかげん間男は止めたらどう?」
スイ「グレミオ……v」
グレミオ「はぁい?」
リオ「あー、いいなぁ、抱き付かれてるー。僕もこう、ぎゅぅっ、てスイさんを抱きしめたいよ〜〜。」
ジョウイ「身長的に無理だと思うよ。」
スイ「大好きだよ、グレミオ。」
グレミオ「くすくす。はい、愛してますよ、坊ちゃん。」
リオ「はーいっ! 僕もスイさんのこと大好きでーっす。」
スイ「うん? あ、リオ。いたの?」
リオ「愛が……愛が薄い。しくしくしくしく。」
ジョウイ「はいはい、可哀相にね、リオ。(抱きしめ)」
スイ「くすくす。冗談だよ、リオ。僕もリオの事、好きだからね(グレミオの半分くらいは)。」
スイ「グレミオ、このあいだの話なんだけどさ。」
グレミオ「この間ですか? というと、坊ちゃんが私の上にのって……。」
スイ「んー? グレミオ、殴られるのと裁きくらうのと、どっちがお好み〜?」
グレミオ「そんな笑顔で聞かないでくださいよー、もう、坊ちゃんったらv」
スイ「さて、冗談はこのくらいにして、グレミオが先に死んじゃうって話しだよ。」
グレミオ「ああ、そういえば、あのあと、リオ君が、僕は将来紋章を一つにして、グレミオさんが死んだ後の人生をもらいます、とかなんとか叫んでましたよ。そうなると、私は死の間際に、リオ君から坊ちゃんを貰いうけます宣言されてしまうんですねぇ。それは楽しくないですよ。」
スイ「………………いや、そういう話しじゃなくってさ。お前の体って、年取るの? って聞きたかったの。」
グレミオ「そりゃ……あ、あれ? そういえば、私、一度死んでるんですよねー? このまま普通に年取ってしまうほうが、自然に反してますよね。どうなってるんでしょうねぇ。」
スイ「さぁ? ゾンビだとすると、もうあと一年くらいすると、腐り始めるのかな?」
グレミオ「──嫌なことおっしゃいますね、坊ちゃんは。もう溶けるのはこりごりですよー。」
スイ「よく言うよ。お前、ソニエールでまじめな話しの後、まじめに……人体の秘密について語ったの、覚えてないのか?」
グレミオ「ああ、あれはいい経験でしたよー。人間の皮膚の中はあんな風になっているんですねぇ。このあたりに、こういう形で臓器がありましてね、胃というのは、内側が……。」
スイ「説明はいいから。その神経の図太いグレミオに限って、そうそう簡単に死ぬことはないと、僕は思ってるんだけど?」
グレミオ「そんなことありませんよ。」
スイ「──どういうことだよ、それは?」
グレミオ「だって私は、坊ちゃんのためだけに、生き返ったのですからね。坊ちゃんが私をいらないとおっしゃったら、私は死んでしまいますよ。」
スイ「…………それは、ないよ。」
グレミオ「そうですか?」
スイ「だって、僕も……グレミオがいなくなったら、息もできなくなるもの。」
リオ「あんなこと言ってる……昨日、僕に「ずっと側に居てあげるよ」、とか言ってくれたのに。」
ジョウイ「彼は英雄と呼ばれた人だろう? 口先で物を言えるんだよ。」
リオ「スイさんはそんな人じゃないよっ! ジョウイと一緒にしないでくれるっ!?」
ジョウイ「な……っ!? それ、どういうことだいっ!?」
リオ「それを僕に聞くの? 君が? ──最初にずっと一緒に居てくれるって、そう言った君が、僕にそう聞くの?」
ジョウイ「──そ、それは……だって──……。」
リオ「僕がどれほど傷ついたか、知ってるくせに。僕がどれほど悲しかったか、知ってるくせに、君がそれを聞くの?」
ジョウイ「………………。ごめん。」
リオ「──あ……。……ジョウイ、ごめん。僕も言いすぎたよ。」
ジョウイ「いや、違うよ、僕がしたのは、本当に君を傷つけることばかりだったんだ。それは正しいから。」
ナナミ「そう〜♪ それは愛! 愛の始まりの歌〜。」
ジョウイ「うわっ! び、びっくりした……。」
リオ「なにしてんの、ナナミ?」
ナナミ「え? いや、なんかこのままリオがジョウイに流されそうだったから、とりあえず邪魔してみました。」
ジョウイ「な、なんで邪魔するんだい? 君は僕の味方じゃ……。」
ナナミ「いやんばってーんっ!(イミ不明) ジョウイが弟になるより、私はスイさんと一緒に暮らせるほうがいいのよ〜♪」
リオ「…………スイさんと、夫婦生活──────(ちょっと目がイッテマス)。」
ジョウイ「なにを言ってるんだいっ!? ちょっと、リオっ!?」
ナナミ「朝はスイさんが裸エプロンで起こしてくれて〜♪ ちょっと失敗しちゃったv とか笑顔で言う彼の手作り朝ゴハン〜。」
リオ「そしてついでにスイさんまで食べちゃったり☆」
ジョウイ「こらこらこらこら、君まで一緒に歌わないんだよ。」
ナナミ「さらに行ってらっしゃいのチュウ〜。『リオ、お仕事頑張ってね……僕のために。』なぁんちゃってぇ♪」
リオ「さらに続くは『今夜の夕飯はリオの好きなものにするね。……何がいい?』なぁんて聞かれて、僕がこう答えるのさ♪ 『一番の大好物はスイさ(さりげに呼び捨て)。』『んもぉ、リオったらぁ。////』」
ナナミ&リオ「らららそれは愛〜♪」
ジョウイ「何妄想と一緒にはもってんだよーっっ! 二人ともっ!!」
ナナミ「さらに洗濯物をスイさんがするのよっ! 自分の下着とかを、一生懸命綺麗にしようとするスイさんよっ! リオっ!」
リオ「それに興奮すると、変態ちっくだけど、相手がスイさんだと思うと、ちょっとドキドキ。」
ジョウイ「…………マクドールさんかぁ。(ちょっと想像してみる)…………あ、いいかも。」
ナナミ「はっ! ら、ライバルを養成してしまったかしら?」
スイ「………………え? なんだって?」
ジョウイ「はい、ですから、リオがあなたを好きな理由を探らせてくださいと言ったんです。」
グレミオ「ははーん。さてはジョウイ君、結構切羽詰ってますね(笑)。」
ジョウイ「笑い事じゃないですよっ! グレミオさんっ! 最近リオってば、会ってもまともに話してくれないんですよ? いっつもスイさんスイさんで!」
グレミオ「仕方ないですよ、ぼっちゃんはそれはもう! すばらしいかたですから。」
スイ「すばらしいかどうかはわかんないけど、まぁ、実際? リオが僕を尊敬してるらしいのは分かるよ。先輩にあたるからじゃないの?」
ジョウイ「先輩に対して、可愛いって言葉は使わないと思いますけど〜?」
スイ「何? あの子、そんなこと言ってるの!? 自分だって、十分可愛い分類だと思うけどなぁ。」
グレミオ「ぼっちゃんの可愛らしさは犯罪級ですからね、仕方ないですよ(しれっ)。」
スイ「…………………………あのさ、僕が今いくつか、お前覚えてる?」
グレミオ「覚えてますよ? もちろん! もうすぐ二十歳ですよね? 成人祝いはなにがよろしいですか?」
スイ「なんでもいいよ、もう。……はぁ。」
グレミオ「…………──────それじゃ、ああいうのとか、いいですね、くす。」
スイ「………………こらこらこらこらっっ! 何おとなのおもちゃの通販めくってんだよっ!? それは却下っ! 却下だからねっっ!」
ジョウイ「…………こ、こんなのあるんですかぁ。うわぁぁぁ…………。」
スイ「こらこらこらこらっ! 未成年っ! 君は見てはいけませんっ!」
グレミオ「未成年だけど、やることやってるぼっちゃんに言われても、説得力ないですよねぇ。……はぁ。」
スイ「誰のせいだと思ってんのっ!? ま、好き放題やってるのは僕だけどね。最近さ、僕がしてたことって、シュウ殿と代らないんだなぁってことに気付いて、実は結構ショックなんだよね。」
グレミオ「…………ぼっちゃん?(にっこり)」
スイ「……はっ! しまった。僕が好き放題ヤリまくってたのって……グレミオには内緒に──……。」
グレミオ「ほんとうに、懲りない方ですねぇ、あなたって方は。……………………ん?」
ジョウイ「…………(どきどきどきどき)。」
スイ「ぐぐぐぐぐ、グレミオっ! 待って、待って? ほら、あのっ! 人、いるしっ!!」
グレミオ「大丈夫ですよ。ジョウイ君も、同じ穴の狢、ですから……ね?」
ジョウイ「あ、どうぞおかまいなく。」
スイ「おかまいするっていうのっ!」
グレミオ「……しませんよ? それにどうせ、すぐに何も分からなくなりますよ。」
ジョウイ「………………スイさんって、ほんと、可愛いんだね。うん、わかった気がするよ、僕。」
リオ&ナナミ「………………はぁ?」
グレミオ「そうですっ!! ぼっちゃんはそれはそれはもう、幼い頃から利発で愛らしくて、もうっ! これぞ天使といわんばかりだったんですよ!! そうそう、そもそもあれはですねぇ……。」
スイ「こうなると長いから、しばらく放っておいていいよ。ところでジョウイ君? ちょっと君に話しがあるんだけど。」
ジョウイ「? 僕に、ですか?」
リオ「あー、ジョウイ いいなぁ。」
ナナミ「リオっ! 負けていられないねっ!! さっ、こっそり後をついていくわよっ!」
グレミオ「そうそう、あの時の坊ちゃんときたら、こうでああでそれでそうで……。」
リオ「……グレミオさんは放っておいていいの??」
ナナミ「………………いいんじゃないの?」
スイ「あのね、ジョウイ君?」
ジョウイ「…………マクドールさんって、睫長いんですね。」
スイ「そういう君も長いね。それに、凄く綺麗な肌してる。すべすべ。」
ジョウイ「うわっ! って、あの……////。」
リオ「スイさん、ジョウイの二の腕触ってます。結構真剣です。」
ナナミ「あれ? 私達って、中継するためにここにいるんだっけ??」
スイ「…………………………これ矧いだら、どれくらいで買ってくれるかな、──族の人。」
ジョウイ「……ぞっっ! って、あの……っっ。」
スイ「え? あ、ごめんね。あんまりにも綺麗な肌だったから、つい。」
ジョウイ「いえ……………………そういうマクドールさんも、きれいな肌だと思いますけど。」
スイ「ああ、だって僕、14で年齢止まってるからね。この外見で肌がぼろぼろだったら、それはそれでまずいんじゃない?」
ナナミ「………………私の手、あかぎれ………………。」
リオ「僕の肌、かさかさ…………。」
スイ「それに、僕の場合、グレミオと父上がうるさかったから。肌を綺麗にしなさいとか、髪を大事にしなさいとか。」
ジョウイ「父君……?」
スイ「うん。僕の父上はね、僕の体とか髪とか触るのが好きだったんだよ。お酒入ると特にそうでね。よく服脱がされて困ったんだよね、そのまま抱き着いて寝ちゃったりとか。」
リオ「ねね、ナナミ、この言葉についてのコメントはどうでしょうか?」
ナナミ「スイさんに触れて奥さんを思い出していたというところでしょうが、実は単に…………ってことも考えられるわね。」
リオ「このあたりは、グレミオさんに探りをいれるべきかと思いますね。」
ナナミ「いえーっす。」
ジョウイ「…………僕の父は、僕のことが嫌いだったんです。だから、そういうふれあいはまるで無かった……。」
スイ「ふれあい? ああ、だからジョウイ君は、こうして触られるの、きらいなの?」
ジョウイ「ひゃっ! いえ、そういうわけじゃ……リオとかナナミとかは、こうして触れてるの好きですし……。でも、なんかマクドールさんの手つきが…………。」
スイ「…………ね、さっきから思ってたんだけど、どうして僕のこと、マクドールさんなの? リオの前だと、スイって呼んでるじゃない。」
ジョウイ「それは、その……だって、あなたは英雄で──。」
スイ「関係ないよ、そんなの。だって僕と君は友人だろう? だったら、名字でよそよそしく呼ばなくてもいいんだよ?」
リオ「はっ!! しまったっ!!」
ナナミ「え? 何何?」
リオ「スイさん必殺、男落しが発動しちゃったよっっ! まずい、ジョウイが落ちる……っ!」
ナナミ「リオッ! 大問題よっ!」
リオ「うんっ!」
ナナミ「リオは一体どっちに嫉妬したらいいのか、わからないじゃないっっっ!」
リオ「いや、そうじゃなくって……………………。」
スイ「とと、そうだそうだ、そんなこと言ってるんじゃなかったっけ。僕は君に話しがあるんだよ。」
ジョウイ「お話、……ああ、そんなことを言ってましたね(ちょっと残念そう)。それで、一体どうかしたのですか?」
スイ「うん、君とリオのことなんだけどね。」
ジョウイ「? はい。」
スイ「君達真の紋章持ってるじゃない? それってさ、二つに分かれてると二人とも年をとるって、ほんとう?」
ジョウイ「あー、みたいですね。僕も身長伸びてますし。」
スイ「………………やっぱり。ちっ、それで最近リオの視点が妙に近いと思ったんだよね。」
ジョウイ「あの、それが一体なにか?」
スイ「ううん、なんでもないんだ。ただね、……そう、ただね、さっさと一つになってくれると、凄く嬉しいな、って思っただけなんだよ。」
ジョウイ「それは無理ですよ。だって僕達の始まりの紋章は、戦いの末に生まれる物なんですから。」
スイ「でも君達はもう戦いの末を経験しているだろう? だからさ、あとは意思次第でできないかなぁ、って思うわけだよ。」
ジョウイ「それは……どうでしょう。でもそうなっちゃうと、僕かリオかどちらかが永遠を生きなくてはいけな……はっ! まさかマクドールさん、リオと永遠を過ごしたくてそんなことをっ!? 実はあれだけ嫌がっていながら、リオのこと……──っ!?」
スイ「マクドールさんじゃなくって、スイだってば。」
ジョウイ「あ、すいま……じゃなくって、そんなことはいいんですよっ! 実はリオのこと好きなんですかっ!? リオに始まりの紋章を渡せと、そう言うのですかっ!? それくらいなら、僕があなたと……──っ!!」
スイ「え? それだとダメなんだよ。だってリオが成長しちゃうじゃないか。」
ジョウイ「……は?」
スイ「だからぁ、今ね、あと少しで身長が追い越されちゃうんだよ。今も力が負けてるのにね、これ以上彼が成長して、力も体格も大きくなっちゃうと、僕が困るんだよ。」
ジョウイ「それだけ、ですか?」
スイ「重要問題じゃないか。僕はこれ以上やすやすと彼に押し倒されるのはごめんだからねっ!」
ジョウイ「はっ! そそ、そうですねっ! って、だからってリオに永遠を生きてもらっても、スイさんにまとわりつく年数が無限になるってことですよ? まぁ、僕が生きてる間はそんなことさせませんけどね。」
スイ「あ、やっとスイって呼んでくれたね。ありがと。」
ジョウイ「え、あ……ど、どういたしまして///(???)。」
スイ「(にこ)それにね、無限にって言うけど、それは大丈夫。どっかに封印しておくから。星辰剣みたいに。」
ジョウイ「………………それはだめでしょう?」
リオ「??? スイさん、何見てるんですか??」
スイ「うーん? うん、ちょっとね。」
リオ「何か分厚いですね、本……ですよねぇ?」
スイ「うん。そう。」
ナナミ「えーっと、●月×日……って、これ日記じゃないですかっ!?」
リオ「えっ!? 何々っ!? スイさんの日記っ!!?」
スイ「あははは、違うよ。これはグレミオの日記。」
ナナミ「なぁんだぁ。って、それダメじゃないですかぁっ!」
リオ「グレミオさんの日記ってことは、どのページもスイさんのことばかり……………………スイさんっ!! 僕にその日記、貸して下さいっ!!」
スイ「──(すごい剣幕のリオに怯えつつ)いいよ、はい。」
リオ「わーい♪」
ナナミ「いいんですか? 人の日記を……。」
スイ「いいのいいの。だってどうせ僕のことしか書いてないし。その書かれている僕がいいって言ってるんだから、いいんだよ。」
リオ「グレミオさんの日記〜。あ、結構字が綺麗。何々? 今日はテッド君が遊びに来ていました。坊ちゃんを誘って、サラディまで行くというので、二人きりにさせてはいけないと、密かに後を付けることにしました。けれど、テッド君も坊ちゃんも、道なき道を行きすぎるので、流石の私も途中でギブアップして、後はアレンさんとグレンシールさんにまかせることにしました。持つべきものは便利なシモベです。」
ナナミ「アレンさんとグレンシールさんって、レパントさんの隣に立ってる??」
スイ「グレミオはね、あの二人の弱みを握っていたからね。」
リオ「今日はテオ様の誕生日。ぼっちゃんがテオ様のバースデイプレゼントを壱ヶ月も前から用意していたことを知っている私はちょっと複雑です。私の今年の誕生日は忘れていたくせに、ほんとファザコンなんですから。
それはとにかくとして、たくさんの人が祝いにやってきました。なんとお忍びでバルバロッサ陛下までやってきて、ぼっちゃんの頭をなでて行かれました。皇帝陛下に頭をなでてもらうとは、きっと将来坊ちゃんは賢くなるでしょう。しかし、あの時テオ様と陛下が交わしていた会話が気になります。坊ちゃんを14になったら兵役につかせるだの、それだとまずいから近衛にするだのと……これはもしや、噂に聞く闇取引というやつなのでしょうか?」
スイ「………………グレミオって、日記で天然することはないとおもうんだけどね。」
リオ「あれ? ??? なんでしょう、このページは? 袋とじになってますよ。」
ナナミ「なんで日記で袋とじ……ページミスじゃないの?」
リオ「でも何か書いてある。びりびりびりびり……何々?」
スイ「袋とじ??」
リオ「今日は私とぼっちゃんの記念日です。ああ、思い出します、去年のちょうど今日。私のお部屋でぼっちゃんと……──。」
スイ「…………っ!! (がばっ! とリオから取り戻すと、日記を見る)………………あ……あんの、くそ馬鹿……っ。何も日記にこんな……////っ。」
リオ「…………スイさぁぁぁーん?? それ、なんですかぁ?」
スイ「なんだろうねぇ、もう。ふふ。」
ナナミ「笑顔が強張ってますよ、スイさん。」
スイ「とと、とにかくっ! 今日はこれまでっ!!」
グレミオ「あれ? ぼっちゃん、どうしたんですか、慌てて?」
スイ「どうしたもこうしたもないよっ!! なんだよ、これはっ!」
グレミオ「え? あーあーあー! ぼっちゃんっ! 何を人の日記を持ってくるんですかっ!」
スイ「持ってるのはいいとして、この中身だよ、中身。」
グレミオ「見たんですねっ! ま、まさか、袋閉じまで……っ!」
スイ「だからこんなもの作るなっていうのっ!」
グレミオ「でもやっぱりこれは残しておかないとっ! 私のメモリアルですからっ! ぼっちゃんが初めて……してくれた日とか、あんなことしてくれた日とかっ!」
スイ「だからいいってばっ!! もう、恥ずかしいなっ!」
グレミオ「自分の日記を見られるこっちの方が恥ずかしいですよ。」
スイ「だって、グレミオが僕のこと書いてるかなって、気になったんだもん。」
グレミオ「……………………。」
スイ「グレミオっ!? 苦しいよっ!」
グレミオ「グレミオは幸せですぅ。」
スイ「もうっ、抱きしめるなら抱きしめるで、こうっ! 腕を回してよっ!」
グレミオ「腰に手を回すと、調子に乗りますよ? 私は。」
スイ「いいよ、別に。……久しぶりに一緒にいれるもんね。」
グレミオ「そうですね、ぼっちゃん………………。」
スイ「うん?」
グレミオ「愛してますよ。」
スイ「…………うん。僕も……──だいすき。」