漁夫の利

 
 


 長い……長い戦争が終わって、安らぎを手に入れることは、いけないことなのだろうか?
 僕は考える。
 僕がしたことの意味。
 僕がなしたことの意味。
 それによって傷つき、失われた人たちのことを。
──その答えは、まだ出ない。
 
 
 
 

 「赦し」を得て、ジョウイは「ジョウイ=ブライト」の名を捨てた。
 けれどそれによって、彼がしたことが「許された」わけではないのだ。
 自分が生きているのは、一重に親友の赦しがあったからだと、彼は思っている。
 ジョウイは全てを救えるとは信じていなかった。でも、守りたい者を守らなければならないと、がむしゃらになっていた。
 それは彼もよく知って居ることであった。
 そして同時に。
 守る者は、いくつも持っていてはいけないのだと、そう──悟った。
「結局、僕は守られてしまっているんですね。」
 呟いて、彼は窓の外を見る。
 見事な庭園が、そこに広がっていた。
 幼い頃から当然のように見てきた実家の庭園など、比べる価値もないくらいに、丁寧に手入れをされ、愛されたことが分かる庭であった。その見事なオブジェの中に、白い洗濯物がはためいているのを見たときは、少々疑問を覚えた。
「僕は、力があれば、誰をも守れると思ったんです。全てとはいかないでも、多くの者を守れると。
 でも結局、僕は守れなかった。それどころか、一番守りたい人を追い詰めて、その人に守られてしまった。」
 その言葉を吐くのに、どれほどの屈辱と、どれほどの絶望と、──どれほどの苦痛を経験したのだろうか?
 まるで人生に疲れ切ったような微笑みを浮かべて、彼は静かに光差す庭を見つめていた。
「あいつは、すごい……──こんな自分勝手な僕を、許して、守ってくれた。
 僕は、持つべき力を見誤っていたのだろうか。」
 答えを求めている口調ではなかった。
 ただ事実を述べているようで、自分を攻めているのだというのは分かった。
 だから、彼の呟きを黙って聞いていたこの屋敷の主は、幼さを残す手で彼の頭を撫でる。
 そして、自分よりも大きなその体を抱きしめて、そっと耳元に囁いた。
「ジョウイ──君は知らなければいけない。」
 優しい声。耳に心地良い、高くもなく低くも無い、成長過程にある、微妙な体。
 男ほど固くも無くて、女ほど柔らかくも無い。中途半端でありながら、完成された……奇妙な感覚。
「君を見守ってくれている人が、大勢いるということを。」
「僕は……──。」
 そういうことを、聞きたいわけではないのだと、苦笑いにも似た思いを抱いて見上げた瞬間、ジョウイは息を呑んだ。
 綺麗な、琥珀色の瞳が、ほんのりと朱色を宿していた。いくつモノ光が宿るその瞳は、憂いある──そして強い意思を宿した、極上の宝石。
 見蕩れて、言葉が途絶える。
「君は多くのものをその背に背負ってしまっている。その重みを忘れてはいけないよ。」
 頭を撫でていた手のひらが、ジョウイの滑らかな頬を撫でる。
 彼よりも幼い体で、でも彼よりも年上で経験抱負な彼は、諭すというよりも、相談に乗っているような口調で続ける。
「でも、囚われすぎてはいけないんだ。もっと、他を見ないと、君は進めない。」
 優しく撫でながら、彼は囁く。
 暖かな体温。
 そこに息づく人。
 昔、絶望し、苦痛を抱き、それでいてもなお、人の前に立った、英雄。成し遂げた、悲劇の人。
「リオやナナミのことだったら、僕は……──。」
 ちゃんと、見て、考えてる。
 これからのことも、考えてる。
 僕はこのままでいてはいけない。
 でも、彼らは僕とともに、昔のようになるのを望んでいて──いや、本当にそうなのか?
 考えても出ない答えに囚われているのは本当だけど、ちゃんと考えてる。
「そうじゃないよ。そっちじゃない。君たちは、本当にお互いしか見てないね。
──いや、君は、か。」
「……………………。」
 ジョウイは驚いたように顔を挙げて──それが当たって居ることに苦笑する。
 なんだかんだといって、結局ジョウイは、二人のことしか考えていないのだ。
 二人の幸せ。
 二人の笑顔。
 二人の……存在。
 それがあればいいのだと。その側に自分がいなくてもいいのだと、そう思ってきたのだ。
 正義感はあった。それに勝てるという自信もあった。
 ただ、成し遂げるには二人が「邪魔」だった。良くも悪くも。
 だから、彼らを裏切る形で、最も早く戦争を終わらせる道を選んだつもりだったのだ。
 まさか、リオが同盟軍にしがみつくなんて思いもせずに。
 彼らの情の厚さを知っていながら、彼らは自分を優先してくれると思っていた己が馬鹿だったのだろうけど。
「君を見ているのは、二人だけじゃない。現に今、目の前にもいるだろう?」
 優しく瞳を細めて、彼はささやく。
「マクドール、さん?」
 トランの英雄。
 故郷に反旗を翻した「選ばれた者」。
 己の意思を貫くため、父をも殺した覇者。
 彼は、自分のように「甘さ」を持って戦争に立ち向かわなかった、勝者だ。
 その存在は、ジョウイにはあまりにもまぶしくて、痛い。
「僕も君を守りたいと思っているよ。ビクトールもフリックも、レオナさんもバーバラさんも……君が出会った人たちもまた、そう思ってる。君に幸せを祈っている。」
「まさか……──だって、僕がしたことは……っ。」
「君は、リオに許されることだけを望んでいるの? そうじゃないだろう? 君はリオに全てを許されたから生きているの?」
「それは……──っ。」
 違う、と否定できない自分に、苛立ちを覚える。
 唇をかみ締めて黙るジョウイに、スイは苦笑いにも似た笑みを浮かべた。
「君を見守っているのは、二人だけじゃない。ましてや、君を赦したのは、リオだけじゃない──。」
 頬を撫でる手のひらが心地良い。目の前のスイの微笑みが透き通るように鮮やかだ。
 ジョウイは目の前の、自分だけに見せる英雄の微笑みが、優しいだけではないのに気付く。
 彼は、人生の先輩であり、それを経験した人だ。
「自分を責めないで。どうか、自分を許すことも覚えて。」
 囁いて、スイは微笑む。
 かく言う彼も、自分を責めた時があったのだろうか? いや、戦に関わる以上、人間である以上、闘う事を後悔しない人はいないのかもしれない。
 それでも人は、守るために闘う。時にはそれは自分であったり、大切な者であったり──ジョウイ達は何のために闘ったのであろう? そして、この華奢な人は……──。
「マクドールさん……僕は、見つける事ができるのでしょうか?」
 すがり付く子供のように、ジョウイはスイの背中に手を回した。
 随分長い間感じていなかった感覚。抱きしめる事しかしなかったジョウイが、久しぶりにしがみついた身体は、とても温かかった。
 自分よりも華奢なのに、それにしがみつく事が当然のように感じる、不思議な感覚。彼は確かに選ばれたリーダーであったのだ。彼は、人を受け止め、導く事ができるのだ。
 それは、ジョウイの親友の持つ、赦しの力とはまた別の力。受け止め、その人の全てを抱き留めて、先を見せてくれる力。
 だから彼は、国を継がないのだ。彼がいなくとも、国が先を見て行けるように──彼はそう導いたから。
「当たり前だろう? 君がその意志を持つ限り、力を貸してくれる人はたくさんいるよ。」
 ジョウイの手触りの良い髪を撫でながら、スイが囁く。
 昔、母代わりの青年がしてくれたように、優しく優しく。
 ジョウイはスイにしがみつくようにして、彼の肩口に頬を寄せた。
「はい──はい。マクドールさん……いいえ、スイさん。あなたが側にいてくれたら、僕は大丈夫です。」
 そして、スイの整った容貌を見あげた。
 スイはにっこりと微笑みかけて、その微笑みを強ばらせた。
 何か……違う?
 ジョウイはそんなスイの戸惑いに気付かないように、熱のある眼差しでスイを間近に見つめる。その手が、背中から腰へと回っているのに、スイはやや危機感を覚える。
 これは、いつかどこかで……同じ様なことになったような気が──??
「ずっとリオが羨ましかった……ミューズの会見のとき、リオの隣に立つあなたを見たとき、嫉妬にどうにかなるかと思った。」
「いや、って、ちょっと待って、ジョウイ君。君、なんか目が怖いよ?」
 おびえるようにスイが後ろへ逃げようとするが、しっかりジョウイに抱きかかえられていて、それができない。
「ジョウイって呼んで下さい。」
 熱く囁いて、いつのまにか慰められていた姿から脱皮したジョウイは、スイを覗き込むように見つめる。
「ああ、夢のようです。こんなに間近で、憧れのあなたを見る事ができるなんて。」
「うーわー。君で二人めだよ。慰め方間違ったの。さっすが親友だね。」
 妙な意味で感心しつつ、スイはジョウイの隙を狙っていた。
 どうやら自分は、カウンセリングの仕方を、もう一度リュウカンやグレミオから学んだ方がよさそうであった。
 ジョウイの気を削がせるために言った事であったが、ジョウイはそれよりも先に違う方に気が取られたようであった。
「リオもあなたにこんなことを?」
 言って、ジョウイは自分の唇をそっと押し付けた。
「ん……っ!? いや、っていうか──落ち込んでたんじゃなかったの?」
 さりげに口元を手の甲で拭いながら、スイはジョウイを見あげる。彼の目は、熱を持っていて、今にも若さ故に燃え盛ってしまいそうであった。──冗談ではなかった。
「落ち込んでましたよ。だってスイさんが、リオととても仲がいいから。」
「──そっちか……っ!」
 うっとりと囁いてくる美少年に、スイが小さく舌打ちする。それは良家のお坊ちゃんであり、美少年でもある彼がしてはいい仕種ではなかったが、何故かとても良く似合っていた。
 そんなスイの腕を縫い止めて、ジョウイはスイの頬から項に向けて手を這わせる。
「って、ちょっとちょっとジョウイ君、君手が早いよ……こらこらこらこらっ!」
 焦ったように身を捩るスイの胸の上に自分の手を乗せて、ジョウイは柔らかな頬に口付ける。
「僕たち気があうと思いませんか? 使っている武器も棍で、魔法の相性も同じ種類だし。」
「あっはっはっは、そういう相性とこういう相性は違うと思うんだよねぇぇっ!!?」
 叫びながら、内心必死でジョウイの顔に手のひらを押し付ける。なんとか彼を退けようと必死であった。
 しかし敵もさるもの。ジョウイは自分の顔に押し付けられた手を取ると、そっとその指先に口付ける。
「そうですか? 僕的にはちょうどいいですけど?」
 うっとりと、女ならば誰もが見惚れてしまう微笑みを浮かべたジョウイに、スイはきゅ、と目を閉じた。
「うーわーっ! グ、グレ──っ!」
 そして、誰よりも自分に忠実な人を呼ぼうと叫んだ口を、ジョウイの口によって封じられる。
 もう実力行使しかないと、スイが危険にも右手の力を解放しようとした、まさにその瞬間に。
「何やってんの、ジョウイっ!!」
 ばんっ、と、二人がいたリビングのドアが開いた。
 ジョウイが視線をやると、目下親友であり、ライバルである少年が息を切らせて立っていた。
 どうやら、寝る前に盛った睡眠薬から無理に起き上がったようであった。
「……リオ……。」
 ちっ、と舌打して、ジョウイは頬を紅潮させて怒っているリオを見つめる。
 そのジョウイの下で、スイがそろそろと吐息を零した。
「た、助かった──。」
 ずかずかずかずかと、リオが迫力を伴なって部屋に入ってくる。
 そんなリオに、スイが苦笑をもらす。
「リオ、ジョウイ君がちょっと頭に血が上ってるみたいなんだ。一緒に外にでも行って……。」
 そして、ジョウイの腕を外そうと四苦八苦しながら、リオを見るが、ジョウイはスイの上に乗った形でリオを見つめたまま、退く気配は見えなかった。
「リオには悪いけど、僕も本気だから。」
 それどころか、リオを煽るようなことを言ってのけてくれた。
「ちょ、ジョウイ君?」
 あせったスイを無視して、リオはキッとジョウイを睨み付けると、戸惑っているスイの身体を無理に奪い取り、がし、とその肩を抱きしめる。
「僕とスイさんは、すでにやる事やってる仲なんだからねっ!!」
「ぶはっ、なな、何を──っ!!」
 さすがのスイも焦ったようにリオを見あげた。
 ジョウイは目の前でスイを無理に奪い取られ、悔しそうに眉をしかめたが、すぐに鼻でせせら笑うように、
「──それが、どうしたの? リオ?」
 余裕で微笑んだ。
「関係ないよ、そんなの。」
 そして、リオに抱きしめられて目を白黒しているスイに笑いかける。
「いくらジョウイだって──ううん、ジョウイだからこそ、スイさんはあげられないよっ! スイさんは僕のなんだからっ!」
 叫んで、リオは奪われまいとするように、スイの身体をしっかりと両手で抱きしめる。
「いや、僕はリオの物じゃないけど……どっちかって言うと、自分の物で──あ、でもグレミオは僕の物だから、僕もグレミオの物?」
 一人で首を傾げるスイの言葉は、誰も聞いていなかった。
「奥さんと子供までいるジョウイになんて、あげられないよっ! ほしかったらまず、身辺整理してきたらっ!?」
「何を言うかと思ったら──すでに整理したあとだろ、僕は。十分にスイさんに迫る権利はあると思うけど?」
 ばちばちと火花を散らす親友達に、スイがさすがに焦ったように二人を交互に見返す。
「ちょっとちょっと二人とも。人を無視して話を勧めないでくれる?」
 スイがうんざりしたように口を挟むが、白熱した言い争いを始めた二人は、全くといってもいいくらいに聞いてはくれなかった。
「何言ってるんだかっ! どっちにしろ、ジョウイにはスイさんを満足させられないよっ!」
 ぎゅ、と強くスイの身体を抱きしめて、敵意むき出しにリオはジョウイを睨んだ。いまだかつて、敵対していた時ですら、ジョウイをそんな目で見たことはなかったというのに、だ。
 それを受けて、ジョウイもジョウイで、目を細めて、戦闘態勢に入った。
「同じ貴族同士、通じるものがあるよ。傷つきあった者同士、心は近いはず。──君みたいに身体しかつなぎとめられないのと一緒にしないでくれる?」
「ななっ、何だってっ!? スイさんは僕の天真爛漫さが好きだっていってくれてるんだよっ! ね、スイさんっ!?」
 凄い勢いで振り返られて、スイは一瞬目を瞬くと、リオのぎらぎら光る目におびえつつも頷いた。
「あ、そ、そうだね。ナナミもそうだけど、弟や妹みたいで──。」
 しかし、言い掛けた言葉は自信たっぷりなリオの勝ち誇った声によって掻き消される。
「ほぉぉーらっ! スイさんは僕のこと愛してるって言ってるじゃないかっ!」
「え? ちょっと、リオ──……。」
 慌てて訂正しようとするスイの言葉にかぶさるように、ジョウイが声を荒げる。
「イイトコロしか耳に入れてないのかい? 弟や妹みたいって言ってるじゃないか。所詮はセックスフレンド。恋人には無理ってことさ。」
「むっ! スイさんのこと、ひとっつも手にしてないジョウイよりマシだと思うけど?」
 ぴくぴく、とジョウイのこめかみが震えた。
 間に挟まれて、スイは口を挟む気力も無く、ただ交互に二人を見交わす。
「僕が本気になれば、あっというまに追い越すよ。恋愛経験も浅い君よりも、ずっとねっ!」
 ジョウイの嫌みったらしい言葉に、リオが見て分かるほどカッチーンときた。
「人を裏切って結婚した奴が良く言うよっ! スイさん、こんな奴、すぅぐ浮気しますから、付き合っちゃ駄目ですよっ!」
 がし、とリオから両肩を掴まれて叫ばれたかと思うと、
「ガキと付き合っている方が疲れますよね? こう言っている奴に限って、憧れを恋と勘違いしてるんだ。」
 ジョウイがスイの頬を掴んで、無理に自分の方を向かせた。
 スイは二人に曖昧な微笑みを浮かべて見せる。
「違うもんっ! 僕は、スイさんとだったら、子供だって作れるんだからっ!」
 リオがジョウイにムキになって叫んだ台詞には、さすがのスイも突っ込まずにはいられなかった。
「……どうやって?」
「愛と身体さえあればっ!」
 力をこめて叫ぶリオの瞳は、その信念に燃えていた。
 間近でそれを認めたスイは、身体全身を覆う倦怠感に、ぐったりと肩を落す。
「…………なんか、もう、疲れたよぉな……。」
 しかし、二人はそんなスイに構わず、真夜中だということも忘れて、口喧嘩をピークへと持っていく。
「そもそもジョウイは、スイさんのこと、何にも知らないじゃないかっ!」
「何を言うかと思ったら、そんなことかい? 何も知らなくても恋は出来るよ。」
 ジョウイは余裕で微笑んだ後、いたずらげにスイを覗き込む。
「それに、僕はスイさんを知ってから……そう、それこそいろんな人から話を聞いたんですよ。カゲやレオン、はてはユーバーまで、それこそいろいろな話を。」
 スイに囁く声は、愛の言葉のようであった。
 出された名前には、スイ自身よく覚えがあった。
 同盟軍に参加している人間は、どちらかというと、自分の過去をあまり話そうとしない者ばかりであったが、彼らはある程度の知識はジョウイに授けてくれたであろう。
 それがどういう物だったのかは、わからないけど。
「い……いろいろな話?」
 ごくり、とリオが生唾を呑んだ。
 どうやら同盟軍に属している元解放軍メンバーからは聞けなかった「スイの解放軍時代」に、飢えているようである。
 それを確認したジョウイの口元に、勝利を確信した微笑みが浮かんだ。
「君はスイさんの解放軍時代を知らないだろう? 僕は知っているよ。伝記も持っているし、ね。」
 しかし、その「スイ=マクドール伝」は、ルルノイエ崩壊の時に亡くなっている。
 それは口にせず、ただリオを羨ましがらせるために、微笑んだ。
「〜〜〜っ!! くっそぉぉっ!! 僕なんて、スイさんに片っ端から燃やされたのにっ!」
 案の定、リオは声をあげて悔しがった。
 その腕の中にいるスイは、のほほーんと笑って、
「あの本で作った焼き芋はおいしかったよね。」
 などと呟いていたが。
「ジルやルカが持っていた、『赤月帝国の貴族〜美少年編』も切り抜いてあるしね。何よりも、ファン歴は君よりも長いよ。」
 自慢に思っているらしいジョウイの台詞はしかし、
「あ、それ欲しいっ! っていうか、僕はスイさんのファンになりたいんじゃなくって、恋人になりたいんだよね。」
 リオの当たり前の台詞によって、意味をなくした。
「うっ……で、でもっ! 好きになった人の何もかもを知りたいとは思うだろうっ!?」
 しかしジョウイも負けてはいられない。
 攻め込んだ一言に、リオも言葉に詰った。
「あぐっ。……それはそれだけど──特にグレミオさんと二人で行方不明だったときなんて、すっごく気になるんですよねぇ。でも誰にも聞けないし。」
 それはそうである。その二人の空白の三年間を知っているのは、当の張本人だけであり、その二人に直に聞くわけにもいかないからである。
「え? 行方不明?? 僕はきちんと書き置きしたはずだよ。」
 きょとん、とスイが目を見張る。
 不思議そうな彼の表情に、リオが首を傾げる。
「でも誰も行き先わからなかったんですから、やっぱり行方不明じゃないんですか?」
「屋敷に書き置き置いておいたってば、だから。クレオ宛てとレパント宛てとで。」
「それじゃ、レパントさんは知ってたんですか?」
 初めて聞く事実に、リオが驚いたように目を見張ると、
「そのはずだよ、グレミオと三年位新婚旅行に行ってきますってちゃんと書いたもん。」
 スイは軽く首を傾げるように、リオを見あげた。
 しかしリオは、その台詞をすっきり見事なくらいに右から左へと聞き流していた。
「ジョウイっ! 情報よりも思い出の方だよねっ! 僕とスイさんの思い出はたくさんあるんだっ!」
「今、わざとらしく無視しただろ?」
 むぅ、とスイが膨れるが、二人はやはりそれも無視した。
「思い出はこれから作るさ。身も心も燃え立つような、あっつい恋人同士の思い出をねっ!」
 ジョウイがリオに叫びかえすと、スイが嬉しそうに口を挟んだ。
「新婚旅行の思い出っていいよ〜v」
 幸せそうにスイが惚気る。
「そうですよね、スイさんっ! 僕と是非その思い出をっ!!」
 がし、とジョウイがスイの手を握り締める。
「ちょっとジョウイっ! 割り込まないでくれるっ!? スイさんはね──。」
 リオがジョウイの手首を握り締めて、キッと睨み付ける。
「いや、だって僕にはグレミオがいるし。」
 スイが困ったように二人を見つめた、まさにその瞬間である。

「リオ、ジョーウイっ!!」

 怒涛のような叫びが、部屋の入り口から聞こえたのは。
「うひゃっ!」
 慌てたようにリオとジョウイの二人が肩を竦める。
 声の主は仁王立ちして目をぎらりと光らせる。
「う・る・さーいっ!!! 寝れないじゃないっ!」
「ナ・ナナミ……っ!?」
 叫んだナナミがギリリと目を吊り上げる。
「あれ、ナナミ、起きたの?」
 スイがきょとんと目を見開いた。
 ナナミは室内に入ってきて、リオとジョウイの二人の前に立った。
「スイさんスイさんスイさんって、何スイさんを取り合ってるのよっ!?
 バッカじゃない?
 スイさんは 私のに決まってるでしょ。」
 叫んで胸を張ったナナミを、三人の少年は目を見張って見詰めた。
「────…………え?」
 スイが小さく呟く。
「ええー?」
「あの──……ナナミ?」
 ジョウイがおずおずと声をかけるが、ナナミは聞いていない。
「全くもう、人の物を横取りするとは……ブツブツ。
 さ、スイさん、こいつら放っておいて寝ましょう。」
 がし、とナナミはスイの腕を掴んだ。
 リオやジョウイの力よりももっと強い力で握られて、スイは困ったように微笑む。
「寝ましょうって……あの、ナナミ? 手、放して……。」
 弱弱しい声はしかし、ナナミの耳には届かない。
「全く自分の身の程を知れって言うのよ。」
 ぶつぶつと呟くナナミは、ある意味寝起きのクレオよりも怖かった。
「っていうか、本気? ナナミ? ねぇ──。」
 スイが恐る恐る声をかけるが、ナナミは聞きはしなかった。
 スイはそのまま、ナナミに連れ去られていく。
 それを呆然と眺めていたリオとジョウイは、同時に我に返った。
「しまったっ! ナナミに連れ去られちゃったよっ!」
「くっ! 思わぬ伏兵だねっ! リオ、ここは手を組もう。」
 二人は絶妙なタイミングで腕を交わし合うと、キッとナナミがスイを連れ去った方向を見やった。
「それしかないね……とりあえず、二人が一緒に寝るのをはばもうっ!」
「よしっ!」
 二人は叫んだと同時、ナナミの後を追って走り出したのであった。
 
 
 
 
 
 
 

 静かな夜の気配の中、トリプルのベッドに、トコロせましと人間が圧縮されていた。
 もぞもぞもぞもぞ……と、布団が蠢き、無理矢理布団の中に顔を入れられていたスイは、ぷはっ、と布団から顔を出した。
「んー……重い、暑い……。」
 ぼやくように呟くと、額から汗が滴った。
 スイの背中から抱き付くようにナナミが乗っていた。
 そしてそんな二人を囲むように、リオとジョウイが身を寄せてきていた。
 スイの身体中が、ぽっぽと火照っている。
「狭い……。」
 文句を言いつつ、寝返りを打とうとしたり、誰かを退けようとしようものなら、ナナミが起きてしまうような気がして、それもできなかった。
 仕方なくスイは再び目を閉じる。
 とりあえず布団から出た分だけ、涼しい風が吹いてきて、少しだけ汗が引いたような気がした。
 
 
 
 

 しばしのち、スイの唇から、花びらが綻ぶような寝息が聞こえた。
 それを耳にしたリオが、むくり、と起きる。
 そして、眠りの縁に落ちた愛しい人を覗き込んだ。
「スイさん……僕、絶対勝ち残りますから。」
 そして、仄かに火照った唇に、そっと己のそれを重ねようとした。
 ぶにゅ。
 汗臭い感触に、リオが目を開くと、そこにはスイの唇の上に自分の手のひらをかざしたジョウイがいた。
 彼もまた上半身を起こしてリオを見ている。
 リオの唇を付けた手のひらをそのままに、彼はにやりと笑う。
「ジョウイ……。」
 軽く目を眇めると、ジョウイは微笑んで告げた。
「リオ──勝負はまだこれからだよ。」
 ──と。
 どうやら、勝敗が決まるまで、グレッグミンスターから旅立つ事はできないようであった。
 
 








おまけ〜♪    (ジョウイVSリオ VS ビクトール&フリック)<グレミオ


 マクドール家の昼下がり、寝椅子に横たわってスイは本を読んでいた。
 そこへやってきたジョウイは、ふいにスイの上にのしかかる。
スイ「? 何、どうかしたの?」
 きょとん、とジョウイを見あげるスイ。そんな彼に、ジョウイは悪魔的にも優しく微笑む。
ジョウイ「スイさん、今、リオもグレミオさんもいないんですよ。」
 スイ、淡く微笑みながら、自分の顔を半分本で隠して尋ねる。
スイ「……──君は出掛けないの?」
 一瞬の奇妙な緊張感が走った。
 刹那、それを破ったのはジョウイであった。
ジョウイ「チャンスなのに?」
 くす、と笑いすら伴なったそれに、スイは咄嗟に飛び出そうとする。
 しかしそこは慣れたもの。ジョウイはすかさずそのスイを押さえつけて、ソファに縫い付ける。
スイ「……やっ。」
ジョウイ「スイさん、愛してますよ。」
 そっと唇をスイの頬に寄せようとするジョウイに、スイは顔を背ける。
スイ「ちょっと──冗談はやめてよねっ!」
 そしてその勢いのまま、脚でジョウイの向う脛を蹴り上げる。
ジョウイ「うぐっ!」
スイ「っはっ!」
ジョウイ「はぐっ!」
スイ「よっとっ!!」
ジョウイ「ごっ…………! ひ、酷い……っ!」
 ジョウイの下から逃れて、ソファの隣に立つスイ。
 ジョウイ、ソファにうずくまっている。
スイ「だってヤなんだもん。」
 パンパンと服を払って、スイはジョウイを見下ろす。
スイ「手加減はしたよ。」
ジョウイ「手加減もなにも……一撃どころか、とどめまで入れたじゃないですか……。」
スイ「いやぁ、つい。」
 えへ、と天使の笑顔で微笑むスイ。それにくらりときながらも、ジョウイは必死で意志を保つ。
ジョウイ「でもね、スイさん! 僕も切羽詰まってるんですよっ!」
スイ「僕も切羽詰ってたんだよ、さっきは。」
ジョウイ「いいですか、ライバルのリオはスイさんと長い間一緒にいて、更に肉体関係もあるんですっ!」
スイ「そーゆー言い方止めてくれない? ちょっと人生に後悔するから。」
ジョウイ「なのに僕は──……僕は、リオと同じスタート地点に立ちたいんです。」
 言いながら、ジョウイはスイの手を取る。
 それを嫌そうに見ながら、スイはジョウイを見あげた。
スイ「立たなくていいし、二人ともこれ以上進まなくてもいいよ。」
ジョウイ「スイさん。」
 ジョウイ、そっとスイの手に口付ける。
スイ「いや、だからムード出されても困るし。」
 ぺしぺしとジョウイの頭を叩くが、ジョウイはそれに答えず、無言でスイの指先を舐めている。
ジョウイ「お願いです。……僕の気持ちを無視しないでください。」
 切実に訴えるジョウイに、スイはややしり込みを覚える。
スイ「あのね、ジョウイ君。」
ジョウイ「僕は……あなたに呼び捨てにしてもらえない。」
 切なく囁きながら、ジョウイはスイを抱き寄せ、その項に口付ける。
 そのまま軽く歯を立てて……。
「はーい、お坊ちゃんそこまでなー。」
 ふいに首根っこを捕まれて、スイから引き離される。
 見ると、大きな熊が呆れたように立っていた。
フリック「大丈夫か、スイ?」
 ビクトールの隣から、フリックがスイを見下ろす。
ジョウイ「く、熊っ!?」
スイ「ビクトール、フリックっ! ──不法侵入?」
 くり、と小首を傾げるスイに、かくん、と侵入者二人は首を傾けた。
ビクトール「おいおい、助けてもらってそれかよ。」
フリック「助けなかった方が良かったか?」
スイ「ううん、助かったよ、ありがとう。」
 にこ、と笑顔で告げて、スイは自分の乱れた服を直し始める。
ジョウイ「何で邪魔するんですかっ!? 若者の情熱の爆発を邪魔すると、発育に良くないんですよっ!」
 ジョウイ、今だビクトールに首を掴まれたまま抗議をする。
 しかし熊はそれをものともせず、のほほーんとスイに顔を向けた。
ビクトール「おい、スイ。玄関開いてたぞ。不用心だな。」
スイ「あ、ほんと? リオかナナミかな?」
ジョウイ「無視しないでくださいよっ! もうっ! 折角のチャンスだったのにっ!!」
 ジョウイはそう言うと、ビクトールの腕を殴った。
 痛みに眉を顰めつつ、ビクトールは彼を解放してしまう。
 スイはそれに危機感を覚えてか、フリックの背中に身体を回した。
フリック「チャンスって……スイ、もてもてだな?」
 にやにやと、フリックが自分の背中に隠れたスイを見下ろす。
 スイはほんのりと目元を赤らめながら、彼を軽く睨んだ。
スイ「何笑ってんだよ、フリック。」
ジョウイ「ちょっとフリックさん! スイさんに触らないで下さいよ!!」
 今にも噛み付かんばかりの勢いで叫んだジョウイに、びくりと肩を揺らしたスイが、慌てたようにフリックの腕を掴んだ。
 咄嗟にフリックも、ジョウイからスイを庇うように彼の腰を引き寄せる。
 と。
リオ「ジョーウイッ!!! って、あああああーっ!!!!! 何スイさんを襲ってるんですかっ、腐れ縁コンビっ!!」
 唐突に開け放たれたドアから、リオが侵入を果たした。それと同時、室内がびりびりと響くような大声で叫ばれる。
ビクトール「腐れ縁って、俺らか?」
 呆れたようにビクトールがフリックを見やると、彼は彼でなんとも言えない顔をしていた。
フリック「襲ってたのはジョウイだ。」
 フリックが溜め息を殺しつつ、そう説明すると、リオは顔をきりりと引き締める。
リオ「!! やっぱりジョウイっ!! 何抜け駆けしてるんだよっ!!」
 リオは、ずかずかと室内に入ると同時、ジョウイにつかみ掛る程の勢いで叫ぶ。
ジョウイ「抜け駆けじゃないよ、当然の権利じゃないか。」
 ジョウイはジョウイで、しれっとしてそんなことを言ってくれた。
 リオはそれに呆れたような顔になるが、こっちも負けてはいられないとばかりに、再び叫んだ。
リオ「当然の権利ってなんだよ、当然の権利ってっ!!」
 一方、スイはリオがジョウイを引き受けてくれたことにホッとしつつ、フリックを見あげた。
スイ「フリック。とりあえず放してくれる?」
フリック「ああ、悪いな。しかしこれ……どういうことだ?」
ビクトール「リオとジョウイはお前を取り合ってるのか?」
 まさかこういうことになっているとは、冗談では想っていても、本当にそうなっているとは考えても見なかったのだろう。
 二人は呆れていた。
 それに対し、間近でにらみ合っていた二人は同時に振り返って叫んだ。
「「そうですっ!!」」
フリック「普通、取り合う相手っていうのは、ナナミになるんじゃないのか?」
リオ「ナナミもライバルなんですよっ!」
ジョウイ「今の所、一番強力ではあるよねっ!」
スイ「……………………はぁ………………。」
 溜め息を吐くスイを気遣いつつも、二人は苦笑いを零さずにはいられなかった。
 さすが元解放軍リーダーであり、自分達を魅了した人物でもあるわけである。
ビクトール「へぇ……なるほどなぁ。」
 ニヤニヤと笑うビクトールに、今までの経験からスイは嫌な予感を覚える。
 そして、彼が何かと言う前に口を開こうとしたが、遅かった。
ビクトール「そんな、抜け駆けとか言う前によ、お前ら二人でスイを愛しゃいーじゃねぇか。」
スイ「ビクトールっ!!」
リオ「……っ! そっそ、そっかぁっ! その手があったっ!」
ジョウイ「僕とリオとで、スイさんを……?」
 納得したらしいリオとジョウイに、スイは不安を覚えて二人を見交わす。
 二人の顔がやや緩んでいた。
スイ「ちょっと……変なこと考えないんだよ?」
 一応おずおずと声をかけてはみたものの、きっと二人の頭には入っていないんい違いあるまい。
 その証拠として、リオが笑顔でこう告げたのである。
リオ「じゃ、ジョウイv 僕がスイさんの下半分貰うから、ジョウイは上半分ねっ!」
ジョウイ「え? うーん、時々交換してくれるなら、それで……──。」
 げし、がこっ!!
 強烈な打撃が、二人の上に落ちた。
 その後ろでは、棍を綺麗に振るった主が、息も切らさずに立っていた。
スイ「変な分け方するなっ!!」
フリック「上下じゃなかったらいいのかよ?」
 思わずフリックが突っ込むと、ビクトールがそれに乗ったかのように笑って倒れた二人を見下ろした。
ビクトール「何だ、お前ら、三人でやる方法わかんないのかよ?」
 にやにやと、下卑たことに口元を歪めるビクトールを見て、スイはふわりと微笑んだ。そして、とりあえず近くに立つフリックを見あげる。
スイ「……フリック、ビクトール?」
ビクトール「あん?」
 微かに、羽根が触れるような口付けがフリックの唇に落ちた。
 ほんの一瞬のその感触に、フリックが驚いたように目を見張るそばで、スイが綺麗に微笑む。
 その笑顔の後にはいつも、恐怖の行動があった。
スイ「どうせやるなら、君たちとがいいな。
 ──ほら、すでに一回やってるしね。」
 くす、と──。
リオ「……………………──────────。」
ジョウイ「──────────……………………。」
 ごごごごごごごごごご、と、どこからともなく地響きが聞こえてきた。
フリック「「…………────すすすすすす、スイっ!!!? なな、何言ってっ!?」
ビクトール「おい、ジョウイ、リオっ! なんだ、その手はっ!?」
 ゆうらりと立ち上った二人は、それぞれ力ある紋章を抱えている右手を光らせていた。
ジョウイ「リオ。」
リオ「ジョウイ。」
 二人は共に輝き合う右手同士で手を取り合って、笑顔で顔を交わした。
「「やっちゃおうか?」」
 二人の右手が一段と輝きを増していく。
ビクトール「やべぇっ!」
フリック「おい、落ち着け、二人ともっ!」
 二人の大人が焦っている間に、スイはそっと部屋から抜け出す。
 直後、

どっきゅーんっ!!!

 凄まじい轟音が鳴り響いた。ついで壁や食器が割れる音がした。
 スイは広い廊下で耳を塞いだ。
スイ「ひゃっほ〜♪」
 そしてその衝撃を乗り切ってから、身軽に身体を起こした。
 すると廊下の先から、この家を影から仕切るボスがやってきた。
グレミオ「……あれ? 何か爆発でもしたんですか?」
 さすがボスである。少しのことでは動じやしなかった。
スイ「あ、グレミオ。お帰りなさいっ!」
 両手に荷物を抱えているグレミオに抱き付いて、すりすりとスイは彼の胸に頬を寄せた。
 それから、彼を見あげると、グレミオは不思議そうにドアが吹っ飛んだ部屋を見た。
グレミオ「ただいま戻りました、ぼっちゃん。──で、一体どうなさったんですか?」
スイ「うん、ビクトールとフリックが来てるんだよ。」
 答えるスイの顎を取って、グレミオは彼の身体に傷がないか確認してから、ホッとしたように笑った。
グレミオ「そうですか。ぼっちゃんにお怪我がないようなら、それでいいんですよ。」
スイ「あ、家の修理はジョウストンのシュウ殿に請求を回しておいてね。リオがやったから、あれ。」
 自分に甘いグレミオに抱き付きながら、スイは微笑みを零した。
 グレミオはグレミオで、そうですか、とのほほーんと笑った。
グレミオ「しばらく風通しが良くなりそうですね──。あ、今日はあそこでバーベキューでもしましょうか? お二人もいらしてるなら、たくさん食べるでしょうからね。」
 にこにこと笑顔で告げるグレミオの頭の中にはすでに、今夜の夕飯についての献立が出来ているのだろう。
 スイはそれを叶えるべく、今ごろ再起不能になっている二人を思い浮かべて、笑顔でグレミオに告げた。
スイ「じゃ。僕は今からリュウカンでもつれてくるねっ!」
 ──と。
 

 かくして、スイ=マクドール争奪戦は、あいも変わらずグレミオ優勢のまま、続いていくのであった。
 
 
















 GOOD ENDING??


 



ただ単に……グレミオが出したかっただけなのですけどね。
………………えへv
企画参加、ありがとうございました〜vv