なりきり黄門さま 後編







「き…………きぃやぁぁぁぁぁぁぁーーーーーっっ!!!!」
 とどろくは女性の悲鳴。
 叫んだ着物姿の少女は、ありったけの力でもって、人攫いたちを「見送った」。
 そして、駆け寄ってくる影に隠れていた大男を見上げ、その胸倉を掴み取ると、
「どーして私じゃなくって、スイさんとかリオとかフリックさんとかシードさんをさらっていくわけぇぇぇ!!!?」
 自分が無事な理由を問いただした。
 んが、そんなこと攫っていく立場じゃないビクトールに分かるはずもなかった。
――そう、人攫いたちは、それぞれ離れた場所からナナミをガードしていた四人の方を、攫ってしまったのである。
 正反対方向から困惑の顔で走ってくるクルガンを見ながら、ビクトールに言えることは。
「……………………このまま放っておいても、あいつらが勝手に解決してくれそうだな。」
 という、ただそれだけであった。
 しかし、ナナミはそれを許さない。
「冗談じゃないわっ! ビクトールさん! 今から乗り込むわよっ!!」
 ぎゅむっ、と拳を握り締めて、ナナミが叫ぶ。
 それほどに彼らに攫われなかったことが悔しかったのだろうかと、ビクトールが哀れな瞳を向けると、彼女は燃え滾る目で、
「だって、クライマックスは、格さんと助さんの、『ひかえおろう』が必要なんだもんっ!!」
 と、格さんの胸倉を引っ張るのであった。




 なんやかんやと言ううちに、口にクロロフォルムを当てられて、気を失って――約一名ほど、気を失った振りをしながら、かついでいる男の上から、目印を撒いていたようだが――、気づけばそこは牢獄の中であった。
 狭いことは狭いが、リオ曰く、「キャロの僕とナナミの部屋よりも広いや。」。スイ曰く、「解放軍時代のフリックの部屋よりも広いね(三人共用部屋)。」。フリック曰く「いらんこと言うなよ、お前はっ!」。シード曰く、「どうでもいいけど、一人なら広くても、さすがにこうギュウギュウ詰だと、息苦しいな。」。
 …………そう、この牢獄の中には、四人以外にも少年達がたくさん入れられていたのである。
 それも、暗がりの中で見ても、それ、と分かるくらいの美少年達であった。
「よかったねぇ、フリック。君、美少年だと思われたらしいよー。」
 ぽんぽん、とフリックの肩に手を置くスイに、フルフルとフリックの肩が震える。
「とどのつまり、お前、何が言いたい?」
「童顔だね、やっぱり。」
「そこかーっ! やっぱりお前の観点は、そこなのかっ!?」
「うるさいよ、フリック。ほかの人に迷惑でしょーが。」
 どかっ、と遠慮もなくフリックを蹴り飛ばしてから、スイはあたりを見回す。
 窓一つない室内は、どこか薄ら寒く、じんわりと湿気を感じた。
 耳に届くのは、少年達の息遣いと風が吹く音。
「…………………………………………船の上ではない……………………か。」
「地下室みたいだな。」
 あっさりとシードも、スイに同意して壁にもたれる。
「うーん…………鉄格子も結構丈夫だね。」
 がっしゃんがっしゃんと鉄格子を揺らしてみてから、リオはあたりで静かにしている少年達に話を聞くことにする。
 ずりずりと彼らに近づいて、
「こんにちわ〜。」
 まるでお花が咲いているかのような、能天気な口調で挨拶をする。
 しかし、人生に落胆している少年達から、返事は無かった。
 けれど、リオも負けてはいない。伊達に108人もナンパし続けた記録を持っていないのだ。
「えーっとですねぇ。ここ、職業案内所じゃないんですかぁ? もしかして、ここで順番待っていたら、職を紹介してくれるの??」
 どこの世界に、職業案内所で職業を案内してもらう「軍主様」が居るのだろう。
 そう思うものの、ここに居る三人以外は、リオが同盟軍軍主だとは知らないはずなのである。
「……………………そんなわけないだろっ。」
 このまま反応が返ってこないのでは、と思われる頃、押し殺したような声が、牢の中から返ってきた。
 反応アリ、とリオはその方向を向く。
 そこには、ふてぶてしい表情の美少年が居た。
 まるでルックのようだと、密かにフリックが思う。
「彼の眼は、ルックほど腐ってはないと思うけど。」
 瞬間、まるでフリックの心を読んだかのように、スイが呟く。
「………………………………お前、結構ルックにはシビアだよな…………。」
「親友ですから、僕とルックは。」
 にやり、と見上げてくるスイの笑みに、そういやさっきも将棋をしていたな、と思い出す。
 彼らの将棋というのは、きっと恐ろしく意固地でえぐい指しあいなのだろう。
 正直、頼まれても見たくなかった。
「じゃ、ここでは何を紹介してくれるわけ??」
 フリックとスイがそんなたわいのない掛け合いをしている間、リオはその少年と会話を進めていく。
 少年は、はき捨てるように答える。
「どっかのエロ親爺か、ショタ趣味のおばさんのとこだろっ。」
 ……………………やはり、そういう意味での「職業案内」だったようである。
 これで給金を相手から貰っていたら、本当に「職業」と言い張ってそうで、コレはコレで始末に終えないような気がした。
 が、実際職業案内という名目ではあるものの、扱いは立派に人身売買であることが、今の光景からも理解できる。
 あとは、無事に自分達が脱出して、遠山の金さんよろしく、「この桜ふぶきが目にはいらねぇかっ!」と、自分が生き証人になればいいだけの話である。
 そこまで思って、フリックはなんとなく――美少年人身売買に売られそうになったわが身を、嘆いてみた。
「そこで、お給金もらって働くわけだー?」
 リオが不思議そうに首をかしげるのに、相手は本気でわかっていないのか、こいつ? という顔になった。
 そして、顔をゆがめると、
「お前…………本気で分かってないなら、今すぐここで死にな。
 そしたら最低でも、自分のプライドは守れるぜ。」
「…………………………………………っっ。」
 リオは、その瞬間、飛び出していた。
 そして、そのままの勢いで、彼の頬を殴りつける。
「リオ!?」
 咄嗟に叫んだフリックと、驚いたように目を見張るシード、そして無言でそれを見守るスイの視線を浴びながら、リオは唇をかみ締める。
 手加減して左手で殴ったとは言え、普段は前線で戦っているリオの力だ。そうとう効いたはずである。
 現に少年の頬は、みるみるうちに膨れ上がった。
「今から紹介されるのは、それほど酷いところなんだよっ!」
 吐き捨てるように叫んだ彼の口から、血が滴った。
 リオは、怒りを堪えた表情でそれを見下ろしながら――低く、呟く。
「冗談でも――死ねなんて、言うな。」
 ぎりり、とかみ締めた唇が痛い。
 でも、それ以上に頭が熱かった。沸騰していた。
「……………………っ。」
 リオの放つ気配に、彼は気おされている。
 当たり前だ。普段はノホホンとしていて天然ボケボケな彼だが、仮の姿は軍主である。
 彼が真摯な眼で見つめる先に居るなら、受ける圧倒感は息苦しいほどのもののはず。
「生きたくても生きれない者がたくさん居るのに、死の間際で、死にたくないと叫ぶものが居るのに。
 生きれるものを前にして、死ねなんていうな。
 君に、人の生き死にを決める権利はない。」
「………………………………………………………………ごめん……………………。」
 つい、と逸らした視線が、涙ににじんでいるのを、リオは見なかったことにした。
 そして、彼は続けて呟く。
「例えどれほど辛い状況でも、打開できるときは、絶対にある。
 それまで、自分達が希望を失わないことこそが、一番辛い戦いだと僕は思う。
 自分が信じたものを、自分が望むものを見失わないようにすることが、一番難しいと思う。
 けど、希望は失わない。
 たとえどれほど傷ついても、どれほど絶望しても。
 僕は、希望だけは、信じるものだけは、失いたくないから、失わない。
 いつか必ず、自分の選んだ果ての道に、自分の望むものが待っていると信じてるから。」
 その言葉が、何を指すのかわかって。
 フリックは辛い目で彼を眺めた。
 シードは、少し眼を逸らす。
 スイは――優しい微笑を浮かべる。
「……………………リオ。」
 そうして、そのままの口調で、彼に呼びかける。
 その名を聞いた瞬間、少年達の何人かが身じろいだ。
「そろそろ始めようか。」
 スイは、かすかな蝋燭の明かりに照らされる牢獄の中、柔らかに微笑んだ。
 リオの心を、宥めるように。
「……………………始める…………。」
「そう。
 ここでの、解放戦争だ。」
 にやり、と笑う彼の眼が、楽しげに輝いているのを見た瞬間、リオは――力強い光を眼に映しとって、こっくりと頷いた。
 それを受けて、フリックとシードが、視線を交し合う。
 リオは、少年達を見回すと、
「ここから逃げたいなら、本気で逃げろ。」
 そう呟くと、右手の手袋を外した。
 闇の中、煌々と光るのは、光の盾。
 はっ、と息を呑む牢獄内のもの達の上に、輝くカーテンが下りた瞬間を狙って、フリックは問答無用で右手に溜めた力を解き放った。






 ごっがーんっ!
 一際大きい光が落ちた瞬間、
「あのやろうっ! ”裁き”使いやがったなっ!!」
 入り口の兵士をぶちのめしたビクトールは、館内を闇雲に走り回っていた足を、急転換させた。
 ナナミは、走り抜けながら、いつも以上の気迫で襲い来る兵士達をぶちのめしていく。
 クルガンが兵の一人をなぎ払い、空をも焼き尽くすような光を見て、眉をきつく顰める。
「シード…………あれほど大技は寄せと言ったのに…………。」
 確かに、剣を持っていっていない今、つかえるのは紋章だけなのだが、それにしても使いようというものがあるはずである。
 雷雲とどろく光と轟音は、フリックの雷の紋章だろう。
 ときどき閃く光の波動は、巻き添えを食わないように、人質を庇っているリオの光だろうか?
「ったく。助けに行くよりも先に、この館、つぶれるんじゃねぇのか?」
 相当荒稼ぎしているだろう館内は、大分広かった。
 こんな中をしらみつぶしに探すのは、うんざりしていたビクトールにしては、のろし代わりの呪文は確かにありがたいのだけど。
「シードも居るからな、ありうるかもしれん。」
 クルガンが、眉間に深い皺を寄せて呟いた。
「スイも居るしなー。」
 ビクトールが走りながら顔を歪める。
 さらにナナミが、
「フリックさんじゃ当てにならないしねーっ!」
 異様に明るい声で、叫びながら前に飛び出してきた兵士を叩きつける。
 そして、勢いそのままに、
「ついでに悪代官のとこまで、のりこんじゃおうねっ!!」
 三節棍を振り回すのであった。





 そして、こういう時代劇のお約束なのか、本当に一同が出会ったのは、首謀者の部屋のまん前であった。
「あー! リオーっ!!」
 群がってくる兵士達を、一網打尽で打ち滅ぼした少女は、そのまま最愛の弟に飛びつく。
 手にしていた三節棍が、ごっつん、とリオの鳩尾に入った。
 グゥッとうめいたリオに、彼女は頭突きのような頬摺りをする。
「良かったっ! 無事だったのねーっ!!」
 そうして彼女は、リオの肩越しに、後ろから続くフリックが小さな雷を飛ばすのを認めた。
 そのフリックの更に後ろから続くのは、美少年の団体であった。
「……………………なに、あれ?」
 呆然と、リオに抱きつきながら眼を見張るナナミに、
「捕まってた人達だよ。ナナミ、彼らのことお願いしてもいい?」
 リオが、顎をさすりつつ彼女に頼み込む。
 けれども、ナナミは小躍りして聞いていなかった。
「そっかー! この屋敷の人は、少年趣味だったのねっ! だから私は攫われなかったんだー。」
「いや、だからね、ナナミ…………。」
 耳元で叫ぶナナミを落ち着かせようと、リオは彼女の背中をポンポンと叩くが、やっぱりナナミの耳には入っていないようであった。
「よぉっし! そうと決まったら、リオっ! さっさと悪代官の所に踏み入るわよっ!!」
 気を取り直して、リオから離れると、ナナミは三節棍を構える。
「………………………………クルガンさん、あの人質サンたち、頼んでもいいですか?」
 リオが、ぐるりと首を回してそう告げたのは、ある意味仕方のないことなのかもしれない。
 クルガンは、ゆっくりと頷くと、背後から暴れるように走ってきたシードを呼ぶ。
「シード、私が先導するから、後から続いてくれるか?」
 くい、と手で示すと、彼は不満そうに唇を尖らせる。
「えーっ!? 俺はまだまだ暴れたりねぇぜっ!? それよりクルガン、お前俺の剣持ってきてくれたろ? 貸せよっ!」
 ほらほら、と手をヒラヒラと差し出してくる。
 その右手に宿る紋章は、すでに魔力を尽かせているように見えた。
 はぁ、とため息を零して――クルガンは、腰に挿していた剣をもう一本出すと、それを差し出しながら。
「だがシード。ここに入り込んで首謀者を叩くよりも、ここから人質を逃すためにボディガード相手に戦った方が、暴れられると思うが。」
「さぁ、行こうぜ、クルガンっ!」
 いつのまにかキラキラ眼を輝かせて、彼はクルガンの前に立っていた。
 すばやくクルガンから自分の剣を奪い取ると、颯爽と剣を抜き放ち、ブンブンと振り回す。
 やる気満々の笑顔で、シードは彼を振り返ると、早く行こうぜ、と急かした。
 クルガンはそんな彼にため息を押し殺しつつ、ビクトール達に視線をやった。
「それでは、私達は彼らを外に連れて行きます。逃がした後、船の方に向かいますから。」
 リオはそれに頷くと、
「それじゃ、悪代官を叩くのと――。」
 言いながら振り返ったリオの視線を受けて、
「二階に閉じ込められている女性達の方は、僕が。」
 シードとともに人質の後ろから走ってきていたスイが、ビクトールから受け取った愛棍をひゅんっと鳴らした。
「俺も行こう。」
 フリックもオデッサを抜き放ち、スイに続こうとしたのだが。
 ぐわしっ!
「フリックさん……………………閉じ込められている女性って、何?」
 低いナナミの声に、動きを止めさせられた。
 彼女の手が、フリックの後ろ襟首をしっかりと掴んでいる。
「え? だから、地下に男、二階に女が捕まってるって話で、俺らが開放したのは地下だけだから、これから二階に行く所だったんだよ。」
「なっ、なぁによぉぉぉーっ! そんなにっ、私がっ! ちぢれまいまいみたいだって言うのーっ!!!」
 フリックの言葉が終わるよりも先に、ナナミはしっかりと三節棍を握り締め、そのままの勢いで目の前に扉に向かって振り下ろした。
 どっごぉぉぉーっ!!
「いいかげんお縄をちょうだいしなよっ!!」
 気風良く叫んだナナミの額には、いつのまにかピンクの布が巻かれていた。
 唖然とするフリックたちに構わず、彼女は颯爽と中に踏み入った。
 慌ててリオがそれを追って、中に踏み入る。
 それと同時に、中から声が聞こえた。
「なっ、何者っ!?」
 リオはすかさずコッツン、と棍を鳴らした。
「助さん、格さん、やっておしまいなさいっ!」
 びしぃっ! と中を示すリオに、ビクトールが気楽に剣をかざした。
「おうよ。」
「へっ? 俺もっ!?」
 スイに付いていこうとしたところを引き止められた形になったフリックが、間の抜けた声と共に自分を指差す。
「まだ、出会えい、も始まってないのにねぇ。」
 呑気に呟いて、中へ踏み込む一堂を見送る時間ももったいないと、スイはヒラリと身を翻した。
 慌ててそれを見やったフリック向かって、
「これから控えおろう、が待ってるんでしょ? 上は八っさん一人でも大丈夫だから、そっちは任せたよ。」
 ひらり、と片手を振る。
 どうやら一人で上へ行くつもりらしかった。
 けど、と続けようとしたフリックの言葉は、廊下の角から飛び出してきた用心棒を、スイが軽やかに打ちのめした姿を見て飲み込まれた。
 そのまま優雅に倒れた用心棒の背中を踏みつけて、スイの姿が角の向こうに消えた。
 考えてみたら、スイは牢から出てここへ来るまで、まともに戦っていない。シードが紋章を使いまわして、フリックとリオが先陣を切って戦っていたのだから、当たり前といったら当たり前なのだけど。
 一度だけスイが紋章を使ったのが、「ビクトール達にノロシをあげよう」と言って、使った「裁き」くらいのものである。
 同盟軍でもトップクラスに入る魔力値の持ち主が、未だレベル4の魔法一回しか使っていなく、体力も有り余っているのだから――。
「上は、スイに任せたほうがいいってことか。」
 フリックは、オデッサを持ち直して、自分も部屋の中へ入ろうとした。
 しかし、それよりも先に、自分達が逃げてきた方向からやってくる足音に気づいて、はぁ、とため息を零した。
 とりあえず、悪代官の居る部屋の中で退路を断たれて、囲まれることだけは避けたい。
 ここを、守ることが大事だろうよ。
 つくづく時代劇はいい場所で殺陣をするものだと、しみじみ思いながら、フリックは扉を背にして剣を構えるのであった。






 部屋の中に居た悪代官こと悪の商人は、なんなんだ、だとか、お前ら不法侵入だぞ、だとか叫んでいたけど。
「僕らを連れてきたのは、そっちじゃないかっ! 僕は帰ろうと思って、用意された部屋から出てきただけだいっ!」
「そうよそうよっ!」
 リオが言い切る言葉に同意するナナミは不法侵入の一人であったが、彼女はそんなことを気にせず、そのままビシリ、と三節棍を構えた。
「さぁさぁさぁさぁっ! あんたの悪事はお見通しなのよっ!」
 黄門様以外の物が入っていたが、二人は気にしない。
 デスクの前に座った男は、落ち着き無く目をキョトキョトさせた。
 左右には、用心棒として雇った十分な腕前のボディガードが倒れている。
 さきほど突然侵入してきた、目の前の華奢にしか見えない少女にぶちのめされ、続けて飛び込んできた大男によって、あっけなく気絶させられたのである。
 用心棒が弱いわけじゃない。それは、ハイランドで荒稼ぎしたときも、ここまで逃げてきたときの道中でも、彼らの腕を間近で見てきた男には良く分かっていた。
 この相手が、むちゃくちゃ非常識に強いのである。
「い、一体あんたら…………何者なんだっ。」
 簡単に攫われたくせに、どうしてこんなに強いのかと、彼は唇を噛み――すぐにハッとなった。
「まさか……………………お前ら、わざと捕まって…………っ!?」
 その叫びに、ビクトールは何も言わず笑った。
 ナナミは、彼の言葉に、ぴくり、と眉を動かせた。自分を放って少年を攫ったのを、非常に不愉快に思っているらしかった。
 そしてフリックとリオは――まさか自分達が攫われるなんて思ってなくて、背後に気を取られていなかったなんて言えず、何も答えず――でもちょっと目線を泳がせて見た。
「まぁ、そろそろ観念するんだな。」
 どさり、と最後の用心棒を倒して、フリックが扉に背中を預けて中を見る。
 男が動揺するのを眺めながら、ビクトールもニヤニヤと笑った。
「出るとこ出てもらうぜぇ?」
「く…………っ、お前ら、誰に雇われたんだ…………っ。」
 男は、ギリギリと机を握りながら、汗にまみれた顔でこちらを見やった。
 その眼に、卑屈な色が浮かんでいる。
「誰って……………………厳密に言うと、越後のちりめん問屋?」
 微妙に首をかしげて尋ねるリオに、いやぁ、それは――と、ビクトールが口もごる。
 そんな彼らを前にして、男は無理矢理口に笑みを浮かべる。
「いくら貰った? 私はそれの倍…………いや、三倍出そうっ! それでどうだ?」
 あせるように口早に言う男の言いたいことを悟って、リオは不機嫌そうに眉を寄せた。
 その顔を見て、彼は慌てて更に口を割った。
「四倍っ、ええいっ! 10倍でどうだっ!?」
 ばんっ、と叩いた机を冷静に眺めて、ナナミがフゥン――と短く、冷たく呟いた。
 でも、その眼がギラギラと怒りに燃えている。
「つまり、あなた――それくらい出せるくらい、稼いでたってわけだ? ……………………人を、売って…………っ!」
 ばしんっ!
 最後の言葉と共にたたきつけたナナミの三節棍が、机の角を叩き割った。
 それを見て、男が情けないくらいに震え上がる。
 そこへ、リオが最終宣告を――告げた。
「助さん、格さん、もういいでしょう。」
 なんとなく、言う場面が違う気もしたが、どうしてもいいたかったのだろう。
 その意を汲んで、フリックは室内に踏み込み、ビクトールは懐に手を突っ込んだ。
「ええい、控えい、控えおろうっ!」
「……………………ここにおられる方を、どなたとぞんじあげる……………………だったか?」
 ぼそぼそ、と呟きながら、最後に確認なんぞをするフリックを右手に、懐に突っ込んだ手をモゾモゾさせるビクトールを左手に置き、リオは威厳たっぷりに棍を握った。やや顎を上げるのがポイントである。
「この紋所が……………………って、……………………紋所、そういや用意してなかったんじゃねぇか?」
 ぽつり、と呟いたビクトールが持ち上げた指先には、彼の上着の内側の布がつままれていた。
 もちろんそこに内ポケットなんていうものが用意されているはずもなく、無言の沈黙が降り立った。
「――――ええっ!? 何!? じゃ、僕の身分を証明するものって、何にもないわけぇぇっ!?」
 ボソボソとリオがビクトールに額を付き合わせる。
「そんなことないわっ、あるわよ、リオ!」
 ナナミが、きゅむっ、と拳を握り締めてから、びしり、と彼の額を指差した。
「そのワッカこそが、リオって言う証! ほら、バナーのコウ君がコスプレしてたじゃないっ!」
「あ、そっか。じゃぁ、これでっ!」
 リオは、ナナミに言われるままに頭のワッカをはずし、ビクトールに渡した。
 ビクトールはそれを貰いうけ、びしりっ、とそれを前に提示する。
「この紋所が眼に入らぬかっ!!」

しぃぃぃーーーん………………………………

 やはり場は盛り上がらなかった。
 室内の空気が固まった一瞬であった。
「あ、今のナシ、ちょっとタイムね。」
 ばたばたと両腕を振り回し、ナナミは三人の間に顔を突っ込んだ。
「やっぱりダメよ、これじゃっ! 迫力がないわっ!」
「って、ナナミが言ったんじゃないかー、これが僕の証だってー。」
 ぷくぅ、と頬を膨らませるリオには、到底軍主様としての自覚があるようには見えなかったが、そんなことを呑気に解説している場合ではない。
 男は、今のうちに逃げようと、あたふたと窓へ歩みよろうとしている。
 そんな彼に向かって、近くにあった用心棒の体を投げつけると、
「あんた、何逃げようとしてるのよっ!?」
 ナナミが、肩をそびやかして彼を睨みつける。
 びくん、と体を強張らせた男が、逃げようも無く震えている間に、
「しょーがねぇなぁ。それじゃ、紋所でもねぇけど――これで行くか。」
 ビクトールが、後ろのズボンのポケットから、もぞもぞと布切れを取り出した。
 そうして、それをバシンっ! と前に突き出すと、
「この紋所が眼に入らぬかっ!」
 唐突に続きを始めた。
 慌ててリオが再び顎を少し逸らした。
 フリックも前を向く。
 そうして、その「紋所」を突きつけられた男は、
「……………………くま………………………………?」
 震える指先で、ビクトールが示した布を指差した。
 くま?
 思わずナナミも、振り返ってそれを覗き込む。
 果たしてそこには、炎に巻かれた熊が映っていた。
 というか、
「獅子だよ、獅子っ!!」
「おまえ、それ、傭兵砦の熊マークじゃねぇかっ!」
 叫んだビクトールに、その傭兵砦の副首領だったフリックまでもが叫ぶ。
「だから獅子だっつってんだろぉがっ!」
 牙をむくように叫ぶビクトールに、ナナミは眉を寄せて布を見やった。
 やっぱりどう見ても、熊にしか見えない。というか、下手な子供のお絵かきである。
 この紋所を見て、恐れおびえ、敬う者など居るのだろうか?
 そう誰もが思ったそのときであった。
「それは――…………まさか、ミューズの傭兵砦の――――そうだ、お前…………っ! お前は確か、青雷のフリックっ!!」
 ――これを見て、これが何なのか理解し、さらに恐れおののく人が居た。
 男は、腰が抜けたようにその場にしゃがみこむと、フリックの整った顔を唖然と見つめた。
「その呼び名はやめてくれ…………。」
 苦痛に満ちた声で呟く彼に、
「昔は自分から名乗ってたくせによー。」
 ビクトールが面白がって茶化す。
「フリックさんは有名だもんねっ。」
 リオも、無邪気に笑うと、部屋の壁に背を預けている男を見た。
 男は、目をあらん限りに見開いて、脂汗をダラダラと流していた。
「ということは、これは…………同盟軍の――…………っ。」
 震える声で語られる内容に、リオはニッコリと笑って右手を示した。
 さきほど手袋を外した右手には、見て分かる盾が形どっていた。
「そうでーっす。同盟軍軍主の、リオって言います♪」
「………………………………〜〜〜〜〜っ!!!!」
 声にならない悲鳴をあげる男を前に、しみじみと――ビクトールは呟いた。
「うちの紋所は、リオの真の紋章だったな。」
 と。








 綺麗な女性やまだあどけない少女が、泣きながらありがとう、と呟く光景や。
 美少年が、安堵したようにありがとうと口々に言う光景が、クスクスの町に広がっていた。
 はっきり言って、とてもキラキラしていた。
 湖も月光を弾いてキラキラと輝いていたが、それ以上にキラキラしているのがクスクスの町だった。
 船の連中を一掃してしまったシードは、暴れまくってスッとしたのだろう。上機嫌で返り血のついた頬をぬぐっていた。
 クルガンは疲れをにじませた顔で、駆けつけてきたフリックたちに笑みを見せる。
「船の中に捕まっていた女性達も逃したところだ。彼女達の故郷への送迎は、ハイランドで請け負おう。」
 とは言うものの、クスクスの町にあふれかえる男女の姿は、一度の船の往復では足りないくらいの人数があった。
 これをまとめて連れ帰るのは非常に大変であろう。しかも、極秘にコソッとハイランドまで、というのは、絶対に無理である。
 とりあえずミューズに行けばなんとかなることは間違いないのだろうけど、何せ、数が数である。
「んー…………さすがにそれは大変だろうから、うちのシュウにも手伝わせるよ。」
 リオが首をかしげながら提案する。
 ここでポイントなのは、「同盟軍も手伝うよ」ではなく、「シュウに手伝わせる」という点である。決して自分がやるとは言わない。
「そうだな。ヤッコさんもこのことに関しては頭を痛めていたはずだから、戦争中とは言えど、手伝ってはくれるさ。」
 リオの言い回しを嗅ぎ取ったビクトールは、ニヤニヤ笑いを隠すこともせず、そう言った。
「それはありがたい。」
 軽く頭を下げるクルガンに、こっちもお世話になったから、とリオは笑った。
「それじゃ、捕まってた人達を、ハイランド組と同盟軍組にわけないとね。」
 すでに着物姿からいつもの姿に戻ったナナミが、元気な笑顔で回りを見回した。
 一通り暴れてスッとしたらしい彼女は、向こうで楽しそうに笑っているシードめがけて走っていく。どうやら彼を巻き込んで聞き込みをするつもりらしい。
 そんな彼女を見送り、フリックも微笑を漏らした。
「ま、何にせよ、一件落着――俺もやっとこのおままごとから出れるな。」
 やれやれと、凝ってもいない肩をほぐしながら、闇夜に浮かぶ船を見上げた。
 これでクスクスの町も、今までのように活気溢れる町となることだろう。
――もっとも、根源である戦争は終わっては居なかったけど。
「……………………ところでフリック。お前、スイしらねぇか?」
「…………………………………………………………………………。」
 そう、これで一件落着。何もかも、終わって……………………。
「屋敷から出るときも見掛けなかったんだけどよ。あいつ、どこに行ったんだ?」
 終わった、はず、なのだけど。
「いないのかっ!?」
 がばっ、と振り返って、フリックはビクトールに詰め寄った。
 ビクトールは、彼の勢いにやや後退しつつ、頷く。
「二階の女を助けに行くって、上に上がったはずなんだぞっ!?」
 まさか、まだ女性を助けていなくて、そのままだと言うのか!?
 いや、それはない。
 だって、フリックたちが男をグルグル巻きにして、引きずりながら館から出てきたときに、どこからか逃げてきた薄着の女性たちが出口向けて走っていくのを見たのだから。
 あれがスイに助けられた女性じゃなかったら、一体なんだというのだろう?
「俺はてっきり、先に表に出たとばっかり――。」
 ビクトールに噛み付かんばかりにフリックが怒鳴った瞬間。

きぃぃぃぃぃー………………………………ん………………………………

ぎゅぉんっ!

 奇妙な音と共に、夜よりも深い闇が、背中で爆発した。
 見なくとも、何が起こったのか――ビクトールもフリックも分かってしまった。
 今振り向いた先に、何が起きているのかも。
「闇…………っ。」
 驚愕に声を震わせたクルガンが、、眼を見開いているのが見えた。
 助かったと口々に喜んでいた女性達が、恐怖に顔を引きつらせているのも見えた。
 きっと今、背後では、恐怖をそそられるような闇が広がり――あの館を飲み込んでいるところなのだろう。
 絶対そうに決まっている。
 理由は簡単。
「お待たせ〜。後始末しておいたよー。」
 のほほーんとした声で、「闇が発生した」、「元館がそびえたっていたところ」からやってくる少年が、こちらに向かってきたからである。
「……………………スイ………………………………。」
 引きつった声で呟く二人の腐れ縁に、スイはにっこりと笑った。
 月夜に浮き出る彼の眼が、赤く濡れて見えた。
「屋敷、取り壊す面倒もないでしょ? これなら。」
「あ、そっかーっ! スイさん、すっごーいっ!」
 嬉しそうにパフリと両手を合わせると、リオが喜びの声をあげる。
 何で屋敷を取り壊す必要があるのかという突っ込みをしないあたり、やはりこの軍主も天然であった。
 頭痛を覚えて、フリックは米神をもんだ。
 きっと、このことでシュウから、「これじゃぁ、現場検証が出来ないだろうがっ!」と突っ込まれること間違いなしなのだ。
「すっごーい、じゃないだろ、すっごーい、じゃー、よ。」
 ビクトールですら、精気を吸われたような声で応答してくれた。
「……………………スイ……………………ってもしかして……………………スイ=マクドール…………っ!?」
 そのときであった。
 信じられないと言いたげな声が届いたのは。
 人質の誰かが知っていたのかと、振り向いた先にいたのは、さきほどまで飛猿の役割をしてくれていたクルガンであった。
 彼は、これ以上ないくらい目を見開き、飄々とした態度の少年を見つめている。
「あの、トランの英雄の…………っ。」
 さすがに指差すことはなかったが、それと同じくらいの勢いのクルガンへ向かって。
「人は、いろんな一面をもってるってことだよ。」
 と、意味不明な一言を残して、スイはヒラヒラと手を振って見せた。
「それじゃ、リオ。僕はそろそろルックのところに帰って将棋の続きをしなくてはいけないんだけど――君はどうする? このままクスクスに泊まっていくかい?」
 そのまま、自分を呆然と見つめているクルガンを放っておき、マイペースにことを進めていく。
 見られることに慣れている少年は、あえて視線に無頓着であれるのだ。
 リオは、軽く首をかしげながら、あたりを見回す。
 本当ならスイに、この人たちの後始末で相談したりしたかったのだけど、そこまでは甘えられない。
 水戸黄門ごっこと言って勧善懲悪に挑戦してみたものの、結局これは、同盟軍の事件に過ぎないからだ。
 スイは手伝いでここへ来てくれているが、本来は同盟軍とは関係ない立場で、事件を解決した後のことまで関わっていいわけじゃない。
 ここからは、軍主としてのリオの仕事なのだから。
「そうですね、僕達はここで一仕事していきます。スイさんは、ビクトールさんと一緒に戻ってもらえますか?
 ビクトールさんは、スイさんを城まで送っていくのと、シュウに報告と応援をお願いしてください。」
 見上げるリオの視線を受けて、ビクトールは疲れた顔に笑みを刻んだ。
「おお、まかせとけ。朝が来る前には、船を回せるように手配してやる。」
 正しくは、手配してもらう、だけどな、と茶目っ気を入れて笑ったビクトールに、お願いします、とリオは頭を下げた。
 それから、リオはフリックを見上げて、
「フリックさんは、町の人で起きている人が居たら、手伝ってもらって、このあたりに火を入れてもらってくれますか?
 ナナミは、彼女達の出身地とかの確認をお願い。シードさんとクルガンさんは、それを手伝いながら、残党が残っていないかの確認をお願いできますか?」
 丁寧な口調を取ってはいるものの、それは命令に近かった。
 フリックもナナミも、リオの指示に頷いて駆け出してはいたが、クルガンとシードはそれに従う謂れはないはずだった。
 ないはず、なのだけど。
「承知した。」
「まかせとけっ。」
 二人は、快く頷いて、そのために駆け出してくれた。
 リオはそれを見送って、かすかに笑顔を浮かべた後、スイとビクトールを見送り――自分も人質の人たちの介抱をするために、走り出したのであった。






 夜が明けようとする頃、人目を逃れるように出港する船があった。
 でもそれは、人買いの船ではない。
 その逆の、人を帰すための船であった。
 出港準備が済んだ船へ乗り込もうとする二人に、リオが駆け寄る。
 ハイランドの人間だと一目でわかる服装に身を包んだ二人に、リオは布にくるまれた横長のものを手渡す。
 不思議そうにそれを受け取ったクルガンに、リオは照れたように笑った。
「ジョウイに、渡してください。」
「……………………ジョウイ様に……………………。」
 さまざまな思いをこめて呟き返したクルガンに、リオは元気良く頷く。
 そして、
「それ、ジョウイのとこから勝手に拝借したジョウイの棍なんです。」
 クルガンやシードが思っていた答えとは、まったく違う答えを、当たり前のように言ったのであった。
「必ずお渡しいたします。」
 恭しく受け取るクルガンの隣から、ひょい、とシードが顔を覗かせた。
 彼は不思議そうに布に包まれた棍を見る。
「これ、どうやって持ち出したんだ?」
 確か、ジョウイはこの棍を、誰の目にも触れないような場所にしまってあったはずだ。
 そう、ジョウイがルルノイエへ飛び込んできたときの一式は、ほとんどすべて、彼がしまいこんであるのだから。
 シードやクルガンですら滅多に眼にかけたことのないそれが、リオの手から手渡されるのが、シードには不思議だった。
 それを受けたのは、リオの隣に立っていたナナミであった。
「ジョウイにね、水戸黄門ごっこするから貸してって手紙書いたら、カゲさんって人が、持って来てくれたの♪」
 その瞬間の、クルガンとシードに走った微妙な衝撃は、リオにもナナミにも分からなかった。
「ジョウイ、矢七役したがってたんだよねー。」
「そうそう。影から風車飛ばしたがってたもんねー。」
 笑いあう姉弟の顔を、複雑な顔で見て――シードは、クルガンの手の中の棍を困惑の眼差しで見やるのであった。



 さて、一足先に宿に戻ったフリックは。
「……………………………………………………………………………………。」
 真っ白になって、部屋のドアの前で立ち尽くしていた。
 そういや、攫われる前、窓から脱出したよな?
「………………………………スーイー…………っ!?」
 叫んで振り返れども、すでに彼はティーカム城に戻った後なのである。



「王手。」
 石版の前で余裕の顔で待っていたルックと勝負を再開したスイに向かって、ルックは笑顔でそう告げた。
 けれども、将棋盤を見下ろしたスイは、ひょい、とルックの飛車を手に取ると、
「これは、ココだったと思うんだけど?」
 と、ルックが王手と称して取ろうとしていた自分の王将の場所に戻す。
「僕の記憶力を舐めないでほしいねぇ?」
 言いながら、王将を握るスイに、ルックはしかし、しれっとした顔で彼に笑いかけた。
「人を一晩も待たせたんだから、これくらいは許してもいいと思うけど?」
「冗談。許すなら…………。」
 言いながら、スイは盤の上の駒をすべて戻し――ついでのように、ここから出かける前に指した駒をも戻した。
「これだけだね。」
 にやり、と笑うスイに、ルックは面倒そうな顔を浮かべてみせたけど、すぐにヤレヤレとため息を零すと。
「チェスなら君に勝てるんだけどね。」
 と、スイの提案を飲むという意味をこめて、自分の駒を一つ進めた。
「良く言うよ。チェスだって、どっちもどっちじゃないか。」
 スイも軽口を叩きながら、ルックの前に陣取ると、徹夜明けには到底見えないタフさで、再び将棋を開始し始めるのであった。










謎賭けがなかったわっ! ということで、謎賭けをここで一発。
ゆりかには、昔好きだった声優さんが居ます。
ナナミ「この間、花とゆ○で全員プレゼントで、伯爵カインシリーズのCDが出てたの。」
リオ「でも、配役は普通に販売中のカインの物とは違ったんだよねー。」
ナナミ「そうっ! リフ役がね、変わってるのっ!」
スイ「そーれは百合華さんは許せないだろうねぇ。」
リオ「? なんで?」
スイ「百合華さん、その声優さん好きだから(笑)。本当は笛は歌うの人が好きだったんだけど、その人と共演していた某アニメから、はまりはじめたらしいよ。」
ナナミ「でも、顔はあんまり好みじゃないらしいわ。」
スイ「けど、アドリブとか上手いし、結構彼が出ているドラマCDとかも持ってたみたい。」
ナナミ「それが好きなキャラだったら嬉しいわよねー。」
リオ「ふーん……………………でも、少し前に亡くなった某声優さんと声の質が似ていて、たまにその人の声と間違えてなかった?」
ナナミ「そーれは言わないお約束vv」
スイ「さて、ここで問題です。
 百合華さんの好きな声優さんとは、一体誰でしょう?」
リオ「ヒントがカインのCDしかないんですけど(笑)。」
スイ「んー…………それじゃ、フルーツバスケットの全プレCDの、草摩綾女役。」
ナナミ「それもまたあいまいな…………。」
スイ「フルネームで書いてくださいねっ!」
リオ「いや、そうじゃなくって、スイさん! もう一つヒントくださいよー! 全プレだけじゃヒントじゃないですーっ!」
スイ「じゃ、今から言うね。
  もうすぐ誕生日(4月23日現在)。アンジェリーク、シャーマンキング、ムーミン、ふしぎ遊戯、ガンダムW。……………………これ以上言うと、バレバレな気もするんだけど。」
ナナミ「メモメモ!」